エイジズムとの戦い「エイジズム(高齢者差別)に終止符を!」アシュトン・アップルホワイト TED動画

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エイジズムとは年齢差別のこと。今回紹介するTED動画は、このエイジズムになぜ私たちが陥ってしまうのか、そしてどう戦っていけばいいのかをテーマに、年齢を重ねることについて前向きに考えさせてくれる動画です。

誰もが平等に年齢を重ねます。なぜ私たちは年を取ることを恐れ、悪いものだと見なしてしまうのでしょう。その背景には資本主義社会で儲けたい企業やメディアの影響、そして私たちみんながエイジズムを持っていることにあります。日本にはびこる年齢差別にうんざりしたときに是非見てください!

「エイジズム(高齢者差別)に終止符を!」 / Let’s end ageism
スピーカー:アシュトン・アップルホワイト Ashton Applewhite / 活動家
TED2017 | April 2017

動画

 

エイジズムは自分で自分を差別するということ

エイジズムの一番の問題点は、自分で自分たちに向けて差別をすることです。「ある一定の年齢を超えたら自分は若くないとする信念」や「高齢者になったら人生のステージから降りなくてはいけない」という思い込みこそが心身を老化させ、健康も損なうようになるのです。

私たち全員が平等に年を取ります。誰もがいずれ高齢者になるのに、「老化」の持つイメージはとても悪く、私たちは将来いずれやってくる「老化」という未来に震え上がっています。

でも実は年を取ることは悪いことばかりではありません。「幸せのUカーブ」というものがあり、人は生まれた時と死ぬときが一番幸せなのだそうです。長生きすればするほど死への恐れを感じなくなるのだそうです。

「幸せのU(ユー)カーブ」

 
世界中の何十もの研究が「幸せのUカーブ」を裏付けていますが、なかなか「老化」を好意的に見る目は定着しません。

なぜなら、私たち全員にはびこる「エイジズム」による年齢差別がステレオタイプを産み、自分を含め誰かが私たちの経験や能力ではなく「〜をするには歳を取り過ぎている」あるいは「若すぎる」と決めつけているからです

エイジズムは社会的に構築された概念です。人種や性別で差別するのは悪いことであるとみんな知っているのに、年齢で差別することに関して許容されるのはなぜなのでしょう

偏見は特定のグループの人々を自分たちではないものとしてみる「他者化」によって起こります。他の人種、他の宗教の信者、外国籍etc…など色んな偏見がありますが、エイジズムの最も奇妙なところはその差別対象となる「他者」は私たち自身だということです。エイジズムは「未来の自分への差別」 なのです。

エイジズムの背景

エイジズムは私たちがいずれ老人になるという「事実」を受け入れたくない気持ちにつけ込みます。

若作りするときやアンチエイジング製品に頼るとき、私たちは現実を否定しています。どうして歳を重ねるにつれて身に付けた適応し成長するという能力をありがたがらなくなるのでしょう?何故「よく老いる」ということが「自分の若い頃の姿や動きを目指して悪戦苦闘すること」を指すのでしょう?

それは私たちが年を取ることを忌避すべきものとして強く心に抱いているからです。未来を恐れながら送る人生は不健康です。老いを受け入れ、老いの拒絶という袋小路から出るのが早ければ早いほど健全になれます

年齢に見合わないからという理由で髪型や服装と言ったファッションや、交際、学業などを断念したことはないでしょうか。大人にはそんな決まりはありません。こうしたものは全て年齢差別です。私たちは皆、年齢差別をしていますが偏見は自覚しない限り乗り越えることができません

生まれながらの年齢差別主義者はいませんが、私たちは生きていく中で「人生の晩年に対する否定的なメッセージ」をメディアやポップカルチャーから絶え間なく浴びているため「シワは醜い」「老人は惨め」「年をとるのは悲しいこと」といった概念を植え付けられてしまいます

そうした結果、私たちはみんなどこかで年老いることを何かしら恐れています。貧しくなること、病気になったり独りになること、仕事や収入への不安、そうした恐怖は当然のものです。でも私たちのほとんどが気づかないのは、老いるという経験はその人の周りの文化背景により良くも悪くもなるということです

日本に見られるエイジズム
日本は世界でも有数の年齢差別社会です。「先輩」「後輩」という言葉に見られる上下関係に始まり、「新卒一括採用」に見られる年功序列や就活市場における根深い年齢差別。またメディアでは年齢を表記しなければいけない法律があるかのように必ず年齢を併記して報道しています。年齢によって人を区別し、差別する文化が社会全体に根強く残っています。これらの年齢差別は社会を硬直し、可能性をくじき、閉塞した社会を作ります。私はどんなに日本が素晴らしい国でも、この「加齢をネガティブに捉え、差別する」この一点においては日本が持つ他のすべての美徳を台無しにする文化だと感じています。日本の生きづらさの多くはこの無意識にすり込まれた年齢によって型にはめる思考、「他者化」から来るものではないでしょうか。

老いることを必要以上に辛くするのは時間の経過ではなく心に抱く年齢差別(エイジズム)です

自然な老化現象を悪とみなして人々に恥や恐れという感情を抱かせれば市場が活性化します。アンチエイジング業界は儲かり、女性の美に関するスキンケア業界は莫大な富を手にしています。

歳を取ることは自然現象であり、長寿は人間が獲得した進歩の証です。「若いか年寄りか」という二極思考を捨て去りましょう。「若さ」や「老齢後」はみな「下り坂」だというような明確な線引きなどできません。

人種や性別、年齢に多様性のある会社は働きやすいだけではなく業績も良いです。加齢に対する姿勢が、心や体の機能に細胞レベルで影響を示す研究も増えつつあります。活力のある人は目的意識を持っています。そして晩年に人々が目的意識を持つことを阻むのは何か?それがエイジズムなのです。

2050年までに5人に1人が高齢者

2050年までに私たちの5人に1人、およそ20億人が60歳以上になります。高齢者人口の増加はかつて無かった広大な未踏の市場があることも示します。

エイジズムは世界規模の人権問題であり、あらゆる年齢、ジェンダー、国籍の全ての人に関わる問題です。誰もがいずれは老人になります。エイジズムをやめない限り、それは私たちを抑圧し続けるでしょう

多くの差別がある中、未だに年齢差別は残っています。多くの差別への意識が改まっている世界でこれ以上の「差別」は必要ありません。私たちがこの世界を安心して歳を取れる場所にするとき、誰にとっても居心地の良い場所になります。あらゆる年齢の人がみんなにとって最も大切なことを行動に移せばその過程でエイジズムを無くしていけるんです。

長生きは当然のこと。エイジズムを終わらせるために誇りある歳の取り方(エイジ・プライド)をしましょう!

まとめ

・エイジズムは自分で自分を差別すること。
・誰もが平等に歳を重ねるが、老いることをネガティブに捉えるのは「ある一定の年齢になったら人生のステージから降りなくてはならないと教え込む文化」がそうさせている。

日本に生まれ育てば年齢を意識しないで生きていくのは難しいほどエイジズムは浸透しています。メディアでは必ずといっていいほど年齢を表記しますし、人の生き方を左右する就職市場では「新卒一括採用」に始まり、企業や人材紹介会社がルール付けをして好き勝手にやっています。日本は「年齢で型にはめた偏見がはびこる硬直した多様性のない社会だ」と感じることもしばしばあります。

どの国にも年齢に関しての意識はありますが、30超えたら若くないと思う国民性は日本がダントツトップではないでしょうか(特に某化粧品メーカー)。誰もが平等に年を取っていきます。これらの年齢差別の仕組みは誰かが作ったルールであり、私はそれに従わなくても人生は生きていけるんだっていう生き方を示したいと思います。だって自分にどうにもならない自然現象の「老化」で可能性を潰したり、何かをやりたいのに諦めるなんて馬鹿みたいじゃないですか。

 
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