未来予測とコアバリューの話


今回はよりよい選択をするために人の未来予測とコアバリューの観点から人の選択行動についてまとめてみました。

人は想像以上に思い込みに左右されている。

人は自分が思っている以上に自分の考えや思い込みに左右されています。特に未来予測となると見通しが甘くなり、とてもこなせないようなタスクを抱え込んだりしてしまいます。予定を詰め込んだり、いついつまでにできると思って計画を組んでもそれができなかったりして痛い思いをした人も多いのでは無いでしょうか。こうした未来予測がうまくいかないと計画倒れが多くなり、計画通りのことが出来ないことで自信の喪失が生まれます

人は希望的観測で生きる。

そもそもなぜこのように自分にとって甘い未来予測を立ててしまうのでしょうか。

考えられることとして人は希望的観測で生きていることがあげられます。誰しも、希望を持ち自分には「能力がある、できる人だ」と思って生きていきたい所があるでしょう。そのためしばしば自分の能力を高く見積もって無理な計画を立ててしまうことがあります。自分の能力を超える無理な計画を立てることで、それがプレッシャーや失敗につながり、「ああ、自分は何をやってもうまくいかないんだ」と負のループに陥ってしまいます。

ある大学の研究では、卒業論文を間近に控えた学生らを調査し、「自分がいつまでに卒業論文を仕上げることができるのか」を予測して貰いました。その結果、「平均28日間かかるだろう」との回答が得られましたが、実際に卒業論文ができた時間は「平均55日間」でした。

こうした自分の能力を過大評価しがちな未来予測についてどのように対処していけばいいのでしょうか。

他人の目で自分を見つめ直す。

こうした自分への未来予測にとって最も明快で確実な対策法は、「他人の目で自分を見つめる」視点を持つことです。

人は自分の主観的なことになると正常な判断ができなくなる傾向がありますが、他人のことになると客観的で的確な判断ができます。誰かから相談を受けたとき、自分でも驚くほど冷静で客観的にアドバイスができた、という体験をした方も多いと思います。その時の感覚を自分にも使うのです。

他者からの意見を素直に取り入れることが自分バイアスに支配されないための方法なのです。

コアバリューとペンシルバニア大学の実験

でも、人からのアドバイスや意見なんて素直に聞けないって方も多いと思います。その時は、人から意見を聞く前に「自分にとって何が大事なのか」を考えてみましょう。

2015年のペンシルバニア大学の研究では、どのようにしたら他者からの意見やアドバイスを素直に聞けるのか?の実験が行われました。具体的には被験者は医師から健康の指導を受けてもらうのですが、助言を聞く前に「自分にとって何が大切かを考えて貰ったグループ」、「家族、宗教、ペットや知識が増えることを考えて貰ったグループ」、「ただ医者の意見を聞いたグループ」に分けられ、その事前思考がその後の実行にどのような影響を与えているのか調べられました。その結果1ヶ月後のフォローアップ調査によると、「自分にとって何が大切かを考えて貰ったグループ」が最も医師からのアドバイスを実際に行動できたのです。

コアバリューを自覚して持つことが判断力の向上につながる。

この結果は何を意味しているのでしょう?ここから分かることは、「人が選択をミスするとき、自分にとって本当に大事なことを見落としてしまっている。」という事実です。

自分の大切な価値観や目的を忘れてしまった状態の時、私たちは判断を誤る傾向にあるのです。自分本来の正しい選択をとるよりも、自分の予想や思い込みが正しいというプライドを守りたいと思ってしまうのです。

この「自分にとって本当に大切なこと」は心理学ではコアバリューといいます。コアバリューを高く自覚できるほど、判断能力が上がるのです。本当に大事なのは何なのかが見えていれば「今これを選択することは自分にとって得なのか、損なのか」が見えてきます

例えば、スリムでかっこよくなりたいなら運動や筋トレをすればいいのですが、私たちの多くは分かっていてもそれができていません。これはやるべきことを実行するときにコアバリューへの意識が薄れ、判断力が下がっているからです。

ダイエット中の食べ物の誘惑に関しても同様です。今自分にとって目の前のものを食べる価値は、今食べることを我慢してきれいにorかっこ良くなった将来の自分の価値と比べてどうなのだろうか?と考えてみるのです。

自分のコアバリューについて考え、それに寄与することはどうなのかを考えることで私たちはよりよい選択ができるようになるのです。

普段から自分にとって何が大事かを意識しておいて、もし人からあなたにとって大事なことは?と聞かれたらすぐに答えられるようにしておくことです。人から聞かれてもすぐに答えられない時は自分の本当に大事な価値観を自分がつかめていないわけですから、判断力が下がり、状況に流されてしまうでしょう。

人は自分にとって大事な価値とは何かを理解していると強いのです。何が自分にとって大事なのかを明確にすれば、受けなくても良い仕事を避けられ何を今自分はすべきなのかが分かってきます。結果として判断力も高まり、よりよい選択ができるようになるでしょう。

まとめ

・他人の目を使うことで自分の思い込み、バイアスから逃れることができる。
・人からの助言をちゃんと聞けるメンタリティをもつことが正しい判断につながる。
・自分にとって何が一番重要か、というコアバリューを強固に自覚できるほど判断力が高まり、他者からの助言を上手に聞き入れることができる。
・普段から自分にとって大事なこと、価値観を意識することが積極的で創造的な人生を歩む上で重要になる。

参考・出典

Core Value Therapy: Why We Ignore Good Advice (And How To Start Taking Action)