注意のスポットライト理論とは 気を紛らわすことの力

注意のスポットライト理論とは 気を紛らわすことの力

心理学の世界では人の注意はスポットライトのようなものだと例えられています。人の脳は情報に接する時に注意を向けたい場所を切り替えているのですが、今回はそんな人間の注意をスポットライトになぞらえた注意のスポットライト理論(The spotlight model of attention)についてのまとめと考察です。

注意のスポットライト理論(The spotlight model of attention)とは

人間の脳は限られた情報しか処理できないため、スポットライトのように限定された範囲に情報を切り取って注意を向けています。全ての感覚や物事に同時に注意を向けるのでは無く、スポットライトを当てるかのように注意を向けたい対象を切り替えながらその周囲の情報を選んでいる訳です。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚といった肉体的な感覚や考え事などの思考は常に脳から注意を奪い取ろうとせめぎ合っています。スポットライトを当てた以外の情報が見えなくなるのがポイントです。

注意を向ける対象を選ぶことの大切さ

私たちが注意を向けた範囲の情報しか処理していないということは、普段からどんな情報に注意を向けるかが私たちにとって大切な事になってきます。注意とは意識と言い換えても良いでしょう。以前怒りの感情についてまとめましたが、怒りは注意を向ければ向けるほど燃え上がります。それと同様に、不安ごとや心配事、病気での苦痛や身体的な痛みなども意識してスポットライトを当て続けると増長します。自分の思考や観念に囚われる強迫症の人が苦しいのは不可解で自分を苦しめるような不都合な考え事(不安や心配、確認の対象)にずっと注意を向けてしまい、思考や注意を自分の意志でコントロール出来ないからです。

以前日本テレビの「世界まる見え!テレビ特捜部」を見たときに、世界の超人としてヨガや瞑想修行の達人が炎の上や針山の上を歩いたり、包丁を体に刺しながら逆立ちなどをしていましたが、まさにこれは注意を痛みから逸らす事が出来ているのでしょう。

気晴らしが何よりも大切

結局、情報過多でストレスの多い現代を生きるに当たって、気晴らしが最も重要ではないでしょうか。自分の好きなものに集中し、意識を向けることが出来る力。人間にはネガティビティバイアスがあり、ついネガティブなことについ注意を向けがちです。嫌なことがあっても上手に楽しい事に注意を切り替える能力が必要です。

面白いのが、海外では医療の分野でバーチャルリアリティーゲームを利用した痛みの注意を逸らす研究が行われています。実際にバーチャルリアリティーを体験することで手術の痛みを紛らわす事が脳の血流の変化で示されています。

ゲームや映画、創作活動など自分の意欲をかき立てる楽しいことに注意を向けられれば、苦しいことや痛み、失恋や株価暴落といったトラウマからの立ち直りも早くなります。普段から自分の好きなもの、ワクワクするものに注意を向けて楽しく生きることを意識したいですね。

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参考・出典

・「スーパーベターになろう!」ジェイン マクゴニガル (著), 武藤 陽生 (翻訳), 藤井 清美 (翻訳) 早川書房; 四六版 (2015/11/15)
Shifting the spotlight of attention: evidence for discrete computations in cognition
spotlight model of attention – APA Dictionary of Psychology
The spotlight of attention is more like a strobe light
・Hunter G. Hoffman et al.,“Virtual Reality as an Adjunctive Non-Pharmacologic Analgesic for Acute Burn Pain During Medical Procedures,”Annals of Behavioral Medicine 41, no. 2 (2011): 183–91.
・Hunter G. Hoffman“, Virtual Reality Therapy,”Scientific American (August 2004): 60–65.[PDF]