習慣作りの心理学 習慣は周囲の環境、文脈、コンテクストに依存する

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私たちの起床時の半分以上は習慣化された行動が占めていると言います。習慣化された行動は無意識下で行われており、自動運転車のように自動的に行われ、意識もされないのが特徴です。習慣をコントロールできる力が身に付けば人生も大きく変えて行くことが出来ます。

習慣は環境が形作る

習慣はその人が囲まれている環境や状況、コンテクストに大きく依存しています。意識が向けられないその環境こそが、人生の大部分を占める習慣を規定するので、自分を変えて行くにはまずは環境から変えて行くことが重要です。自分を変えたい人や悪い習慣から脱却して良い習慣を身につけるには周囲の環境をまずは意識し、普段自分がどういう環境、状況でどんなことをしているか、感じているかに意識を向ける必要があります。

今自分の置かれている環境(コンテクスト)に気づく

環境を変えるには、まずは自分は一体どのような環境で、流れで、気分で、場所で、何を意識して行動しているのかに気づく必要があります。この気づくことが最初のステップです。

「あれ?今の自分はなんとなくスマフォをしていないか?」
「今の自分は何でこのサイトを見ているのだろう?」
「この人と会うと気分が良くなるor悪くなる」
「調子が悪いときは、ついテレビやスマフォ、Youtubeばかりダラダラ見てしまうな」
「ゲームをした後はつい空き時間にまとめサイトばかり長時間見てしまうな」
「カフェや会社だと集中できるけど、どうも家だと集中できないな」

など、今の自分の行動をメタ認知する(外側から客観的に眺めるような)視点が必要です。コレを鍛えるには瞑想があり、今の感情や注意方向の感覚を捉えるマインドフルネスの練習、日記などでの行動記録が効果的です。記録をとるのは几帳面な人にお勧めですね。

意識で習慣や行動を全てコントロールすることは非常に難しいので、まずは「自分はこういう状況や流れだとこういう行動をとりやすい」ことを自覚し、そこから改善点を考えていきます。

習慣的な行動を引き起こすキーがある


何かの行動には必ずそのきっかけとなるキー(行動のスイッチ)が存在します。

例えば、家に帰ったらテレビをまずつけてしまうのは「寂しい感情」や「開放感」が、どこかイライラした感情は「特定のCM」や「ネットのネガティブな言説に一瞬目を向けてしまった事」がキーかもしれません。寝る前についスマフォを確認してしまうのは脳が「寝室」と「スマフォ」を結びつけているのかも知れません。

人それぞれ感情や行動のきっかけとなるキーが存在するので、そうした行動のきっかけとなるキーを意識できるようになりましょう。意識したらそれを含む環境・状況・コンテクストを変えましょう。ついスマフォでネットを開いてしまうのなら、ブラウザのアイコンを遠い階層において、Kindleなどの読書アプリを代わりに配置するなどです。

なにか悪い習慣があるのであれば、悪い習慣と紐付いた環境を変えていきます。習慣が実行されていたときに、どこで何をしていたか。その行動を発生させるキーは何か?を認識することが最初のスタートです。

環境を変える行動とは

状況が同じなら、同じような行動を取るのが人間です。環境に身を任せ、これまで通りの行動・流れの中でダラダラとこれまで通りの行動を取っていた方が楽だからです。いつもやっている行動は安心感をもたらしますが、停滞につながります。

→DV男としか付き合えない女性
→席は自由なのに無意識に同じ席に座る大学生

環境を変えるには意志の力よりも勇気の力が必要です。環境をリセットするには以下の方法があります。

・引っ越しや旅行をすると良い習慣も悪い習慣も全てリセットされ、白紙の状態になります。この間に新たな計画を立てるのも良いでしょう。
・シェアハウスなどで一定期間他人と暮らすと習慣はリセットされます。他人が介在すると個人的な習慣は消えやすくなります。

習慣化のメリット・デメリット

習慣化するということは、無意識で何も考えずに行動を起こせるようになること。これはつまり「良い意味でも悪い意味でも習慣化した行動は感情が失われる」ということです。歯磨きや入浴、手洗いと同じように、自動化された行動には何の感情も持たなくなります。

楽しいことを仕事にしない方が良いと言われているのも、要は好きな事を習慣化すると楽しいという感情も消えていくからです。楽しいことを習慣化によってつまらなくしないためには、変化を付けて飽きさせない工夫が必要です。

逆にやらなければいけない事や、達成したいことだけど苦しいことなどは習慣化してしまえば行動出来るようになり大きな成果を出せるでしょう。これが習慣化のメリットです。行動へのストレスが減り、感情や雑念に左右されなくなり、集中力が高まることでフロー状態にも入りやすくなり、生産性が高まります。

依存的な習慣への対処


認知的不協和という概念があります。これは人の持つ「自分の行動と認知を矛盾無くさせたい」傾向のこと。これまで習慣的に行っていた行動が、あたかも自分の意志でそうやっていると思いこむことで、悪い習慣・依存的な習慣を正当化します。

・お酒を飲むことでよく眠れる→実際には浅い眠りになる
・タバコを吸うことがストレス解消になる→一時的なニコチンによる作用で、もっと強い刺激が欲しくなる
・付き合いで食べている→飲み会で食べ過ぎた言い訳

依存的な行動ほど自分はコントロールできている、制御できていると思い込んでしまうので、その気になったら自分はいつでもタバコやお酒を辞められるんだと本人は思いがちですが、実際にはそうではないことが研究により明らかになっています(自分では間食を取っていないと思っていても、客観的には普段と変わらないぐらい食べているということ)。

それほど自分の意志というものは脆く崩れやすく、自分のバイアス(思い込み)に左右されてしまうものなのです。依存的な行動を変えるには環境を変えるのが一番です。例えばタバコを根性でやめることは不可能に近く、禁煙できた人は周囲に自分はタバコをやめると宣言したりして回りの環境を変えたりしています。

意図的に習慣が身に付くのには何日必要?

意図的に新たな習慣を作るには平均して66日ぐらいは必要とのことです(イギリスのUniversity College Londonによる)。

ただ、習慣の内容によって必要な日数は違っていて、腹筋運動などは84日以上、ハードな習慣は250日以上必要とのこと。一年続けることが出来たら自信を持って習慣化が出来たと言えるでしょう。なお、完璧主義になる必要は無く、1日、2日ほどならサボっても大丈夫だそうです。

大きな習慣ほど長く日数が必要なので、小さな習慣に分割して習慣化を達成しやすくしましょう。習慣は最初が一番キツく、続ければ続けるほどしんどさが減っていきます。

友達も習慣による結果?

気の合う友達は、習慣的な行動の結果であるかもしれません。友人は自分と似ている人というよりも、いつも自分と同じ行動を取っている人です。一緒の時間を過ごし、一緒の時間やタイミング、状況で同じ行動を取ることで仲が深まり友達になります。赤の他人と同じぐらい考え方の違いがあっても、習慣的に会って、同じような行動を何度も取ると仲良くなれるということです。

まとめ:環境の影響は大きい。自分がどういう状況でどんな行動をしているのか自分で気づくことが重要。

環境やその人の居る空間がどれだけ人間の行動を決めているかについてまとめましたが、性格も同じです。普段からどんな情報に接しているか?インターネットでどんなサイトを見ているのか?それはプラス感情のキーになっているか?もしくはマイナスで陰鬱な気分となるキーとなっていないか?なんとなくしている普段の行動を意識してみましょう。

人間は思いのほか自分について分からないもの。内向的だと自分で思い込んでいる人が、仲間の中では外交的な行動を取れたりします。得意な分野やその人の専門性が活かせるホームグラウンドなら誰でも外交的になれます。自分の事は考えても分からないもの。自分の事を分かりたいのであれば、今置かれた環境や状況を見て自分の行動のスイッチを知ることから始めましょう。

回りの期待やイメージも大きく行動に影響しています。アジア系アメリカ人は数学が出来るとしたステレオタイプが海外にはあって、その研究では実際にアジア系アメリカ人の方が成績が良かったとのこと。ステレオタイプを受ける側の本人自身が周囲のステレオタイプや期待を取り込み、実際の行動や成績に影響を与えているのです。

テレビばかりみて勉強をしない学生達への調査では、学生寮が変わると悪い習慣が無くなったという報告もあります。

周りに自分は○○歳だから〜と年齢を言い訳にして行動やチャレンジをしない人(精神的に老けている人)や、自分を磨かない人がいると自分まで悪影響を受けてしまうので気をつけましょう。ネガティブな情報は想像している以上に無意識に悪影響を与え、ここぞという時の挑戦力や意思力を挫きます。

習慣は意志の力で消すことが出来ないので、同時に出来ない拮抗する別の習慣を取り入れましょう。ガムをかみながらタバコは吸えないので、禁煙にはガムは有効といった具合です。

なかなか良い習慣が身に付かないときは環境を変えてみましょう。行動の順番や前後を入れ替えたりして前後の流れを変えましょう。回りから入ってくる情報に注意して、他人の枠組みや固定概念、思考、思い込みにコントロール・支配されないようにしましょう。

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参考・出典

・ニコニコチャンネル メンタリストDaiGo 「人生を変える習慣化の科学」2017-11-07
・良い習慣、悪い習慣―世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法 ジェレミー・ディーン (著), 三木 俊哉 (翻訳), 大野 正勝 (翻訳)
・考えてるつもり ――「状況」に流されまくる人たちの心理学 サム・サマーズ ダイヤモンド社 2013-04-26 (Amazon)
Wendy Wood (social psychologist) (Wikipedia)
How long does it take to form a habit?
Science of Habits – UCL

 
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