良いことをした後に自分に甘くなる現象 セルフ・ライセンシング(モラル・ライセンシング)

36

皆さんは何かを頑張ったり、道徳的に良いことをしたあとについ自分に甘くなったりしてしまうことはないでしょうか。例えば、ダイエット中に運動した後ドカ食いをしてしまったり、寄付や援助をしたあとに財布のヒモが緩んでギャンブルをしてしまったり、仕事から帰った後に大きな買い物をしてしまったり。このような「何か自分にとって正しいこと=良いことをした後に、自分に対しての判断が甘くなる現象」を社会心理学ではセルフライセンシング(モラルライセンシング)といいます。

セルフライセンシング(モラルライセンシング)とは

セルフライセンシング(モラルライセンシングともいう)は、道徳的に正しいことをした後に自分に甘くなる現象を示します。「正しいことをした」という自己認識が、「不道徳な行動(自分に甘い行動)への罪悪感」を低減するのです

道徳的に正しいこと=社会的に好ましい行動は時としてストレス(負荷や我慢)が発生しますが、そのストレスを我慢した分、自分にご褒美をあげたくなるのが人間なのです

ダイエットを成功させたかったり、無駄遣いや浪費を減らしたいのであれば、頑張ったら頑張った分だけその後の自分の判断を注意深くしていく必要があります。

セルフライセンシングが適応される例

実験では、寄付を募ったときに、過去に良い行いを思い浮かべた人は寄付金額がそうでない人と比べて6割ほど低かった結果が出ています。過去に良いことをしたのだから、今回ぐらいは少ない寄付でもいいだろう、と自分にとって都合の良い判断をしやすくなるのです

また海外では採用の場面で、黒人を採用した面接官は今度は別の採用面接では白人を優遇しやすかったりするそうです。

無意識に自分の中の判断基準が以前の行動の影響を受けているのです

しようと考えただけで満足してしまう人の脳


セルフライセンシングで一番衝撃的なのが、何か行動を考え、想像しただけで発動してしまうということです。これはどういうことかというと、上手くいった自分を想像しただけで満足してしまい、行動しなくなってしまうことを意味します

計画を立てただけで満足してしまう人も多いのではないでしょうか。上手くいった自分、目標を達成した自分を想像しただけで満足してしまうのはセルフライセンシングが働いているからです

考えただけで満足してしまうセルフライセンシング
・「よし、英語を勉強すると決めたぞ!」と英会話スクールに入会や資料請求しただけで満足してしまう。(本来その日のうちに英語の音読など自分でできる事をしたほうが良いのにもかかわらず。)
・ジムの入会やダイエットの本を買っただけで満足してしまう。運動しない。
・本を買っただけで読まない。
・計画を立てる時にはアレをしよう、これをやろうと生き生きしているが、翌日行動を映すときにどうもやる気が出ず、上手くいかない。

どうすればセルフライセンシングに陥らないで済むか

セルフライセンシングは道徳的に正しいことをするべきだ、というプレッシャー(抑圧)から来ています。私たちはルールを嫌い、自由に生きたい!という本能があるのです。そのため、今していることと道徳感覚とを切り離すことがセルフライセンシングの影響から逃れるための方法になります。

なぜ今その行動をするのか、何のために自分はそれをするのか」を認識することで、義務感や道徳的な感覚から行動を切り離すことが重要です。厳しい自己ルールを自分に課したり、我慢してコツコツ頑張れる人ほどこのセルフライセンシングの罠に引っかかりやすいです。息抜きは息抜きとして別にカウントするか、ちゃんと自分の価値観に従って、都合の良い判断や行動をしていないかを自覚する事が大切になってきます。

参考・出典

セルフライセンシング Wikipedia(英語)
・スタンフォードの自分を変える教室 ケリー・マクゴニガル 大和書房 2012-10-20

 
  • follow us in feedly