ラッキーを掴め! 運が良くなる幸運心理学

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今回は運についての知識を総合的にまとめます。そもそも運とはなんでしょうか?運が良い人、悪い人の違いはなんでしょうか?

最初に一般的に言われている運のいい人・悪い人の違いを扱い、次にギャンブルでの勝ち負けの傾向は何によって左右されるのかを見ていき、最後にクリエイティブなアイデアを閃く力と気づきの力(セレンディピティ=運)との関係性についてまとめていきます。

運の良さは思い込みで決まる

レスター大学とマンチェスター大学の研究では、250人の男女に質問紙調査を行い、幸運であるかの調査と実際にラッキーなイベントの発生確率を調査しました。

その結果、運の良さの大部分は自分が運が良いと思い込めるかどうかであり、また実際に自分が運が良いと思っている人は、客観的に見ても運が良いことが分かりました

自分のことを自分で運がいいと思い込んでいる人は、実際にチャンスを掴み、他の人から見ても運が良い出来事に恵まれている、と思われていたのです。

ラッキーアイテムは信じればこそ


幸運を呼ぶラッキーアイテムに効果はあるのでしょうか?

2010年ドイツのケルン大学でプロゴルファーを対象にラッキーアイテムの実験を行いました。幸運を呼ぶボールという触れ込みでプロゴルファーに渡し、実際に成績がどうなったのかを見たところ、なんとラッキーボールを信じたゴルファーは実際に成績の向上が見られました。プロゴルファーなのでゴルフには相当慣れているにもかかわらず、結果に違いが出たのです。更にこれは実はラッキーボールではありません、と告げられると成績が戻ったとか。信じるものは救われるという結果になりました。

これは思い込みが運を呼んだ例です。アッキーアイテムは安心を生み出し自己効力感や自尊心を向上させ、実際にパフォーマンスを向上した結果に繋がったと考えられます。ラッキーアイテムを上手に使うことで、何かに挑戦したり、コツコツ前向きに頑張れる気にもなるでしょう。

自分で幸運を呼び寄せるラッキーアイテムをパフォーマンス向上に活かせないか模索するのも良いでしょう。幸運を呼ぶと何か信じれる証拠や納得性があるものであれば何でも良いといえます。

リラックスと行動が運を高める

なぜ自分が運が良いと思い込んでいることが運の良さに繋がるのでしょうか。

心理学で最も統計的に証明されているBIG5の性格分析と運のいい人との関連の調査によると、運がいい人はBig5の中にある開放性、つまり新しいものを受けいれる力、チャレンジする能力、新しい物事に目を付ける傾向が高いことが分かっています。

運が良い人ほど普段からリラックスしていて、新しい事にチャレンジする傾向にあります人は余計な緊張が解けて、適度にリラックスしている時に最も能力が発揮できます。運に対する思い込みが結果として現実のパフォーマンスと関連しているのです。

行動力が高く、試行回数が多くなればなるほど能力の向上につながり、人とのつながりやチャンスを呼び寄せ運の向上に繋がります

運の善し悪しは性格に大きく左右されていると言えるでしょう。

運が良い・幸運続きの人の特徴

では運がいい人の性格、悪い人の性格はどのような特徴を持つのでしょうか。

運が良い人は、以下の特徴を持ちます。

運が良い人の性格特徴
・楽観的で、いつもリラックスして柔軟である
・何かを達成したい、という欲求が少ない。
・人生に多くを望んでいない。願望があっても「こうなったらいいな」と思う。
・自分で高い目標を設定しない。
・不安も楽観的に対処する。ポジティブシンキング。
・色んなものに対して好奇心を持っている。
・都合良く周囲の状況のせいにして、自分を責めない。
・目の前の問題にキチンと対処する。

要するに、肩肘張らずにリラックスした姿勢で人生に臨んでいる人が運がいい人です。人生に多くを望まず、高い目標を自分で設定しない項目が入っていることが面白いですね。目標をたてても、死ぬほど自分を追い込まないということです。

柔軟に物事を捉え、あれこれめんどくさく考えず、力んでいない人ほど運がいい人と言えましょう。

新しいことにチャレンジしているかどうかがキーポイントで、好奇心の塊であることが幸運を呼び寄せる大きな要因です。楽観的な人ほど物事を軽く考えて気軽にアレコレと行動できるので、必然的にチャンスや機会に挑む回数が多くなります。

運が悪い・不運が続く人の特徴

逆に運が悪い人は以下の特徴を持ちます。

運が悪い人の性格特徴
・常にネガティブな思い込みを抱いている。
・やたら悲観的で、過去の事ばかり悔やむ。過去を見て、過去に執着する。過去があるから自分があると過去ばかり見て考える。
・楽観性が低く、細かい欠点に目を向けてしまう。
・今現在や未来を見通す力が低く、悲観的に見てしまう。
・情緒不安定で怒ったり笑ったりと感情の浮き沈みがある。
・アレコレ考える事、悩むことで問題は解決すると考えている。
・完璧主義で一つの事に執着して、興味関心の幅が狭く凝り固まっている。
・BIG5でいう外向性と開放性が低い。新しい人間と接する機会も減り、何か新しいチャレンジを起こすことが無い。
・神経症的傾向が高く、常に不安を抱き、自信が低い。
・自己受容性、自分の弱みをありのままに受け入れる能力が低く、見栄を張るタイプ。
・目の前の問題を避け、現実から逃げる。

運が悪い人は、かたくなで目の前の問題に執着してしまい、回りのものが見えなくなっています。高い目標を設定しますが、それらが達成できないとひどく落ち込み、下手すれば死にたくなったりします。

芸術家や何か大きなことを達成する人の中にはこういう性格特性がプラスに働きますが、幸運という視点からだと悪い方向に働きます。かくいう私がまさにこのタイプなので、生きづらい性格とも言えますね。

特に過去ばかり見てしまうのはよくあります。過去に執着して振り返っても、それを今や未来につなげていかなければエネルギーを消耗するだけです。

こうした人は完璧主義の傾向が高く、物事を失敗してはいけないと緊張した態度で臨むため、腰が重く、不安と心配から行動を起こしにくくなります。そのため全体的な試行回数も減り、新たな出会いやチャンスの総量も少なくなります

総じてネガティブなタイプは運が悪いと言えます。こうした性格を直していけば幸運体質に生まれ変われるでしょう。瞑想などの不安対策や自己受容性を高め、肩の力を抜く方法を探ってみるのが良いでしょう。

人は身近な幸運に気づかない!金のなる木の実験

人は身近な幸運に気づくことが出来ません

多くの人が身近な幸運に気づくことが出来ないことを実験したウェスタンワシントン大学の「金のなる木」という面白い実験(2010年)があります。

大学構内に1ドルや10ドルをぶら下げた金のなる木を実際に用意し、どれだけの人が気づいたのか調べました。その結果、お金がぶら下がっている事に気づいたのはわずか6%だけでした。

「金のなる木」は「チャンス」と読み替えることが出来ます。考え事をしたり、余計なことに頭を働かせている間に身近にあるせっかくのチャンスに気づかないままでいる人は多いでしょう。目の前の事に没頭していると、すぐ脇を通る幸運の気づきを得られなくなるのです。

リラックスし、周囲を見る余裕を持つ人がこういった身近な幸運に気づくことが出来るのです

参考動画 金のなる木

不安と不運で機会を逃す 自己成就予言と不運

不安と不運は紙一重です。不安になりやすい人が不運になりやすいのは、心配事で視野が狭くなってチャンスを逃してしまうからです

2005年ハートフォードシャー大学の研究では、被験者を「幸運だと思う」と「不運だと思う」の二つにグループ分けして新聞に隠されたメッセージを探させる取組が行われました。自分のことを「不運」だと思う人ほど神経症、不安傾向が高くメッセージを見逃しやすくなり、「幸運」だと思う人ほどリラックスして隠されたメッセージに気づいたそうです。

2016年中国のドライバー調査では、交通事故に遭うか遭わないか、38名のドライバーを対象に彼らが抱いているバイアス(思い込み)と危険な運転との関係性を調べました。結果はネガティブな思い込みを抱いているドライバーほど、ネガティブなことに囚われて結果的に危険な運転(不運な出来事)に遭遇する可能性が高まりました。

これは心理学で自己成就予言ともいいます。心配事や不幸な予言を強く意識することで、本当にその出来事が発生してしまう傾向のことです。この場合はネガティブ感情に目を向けてしまうことで、周囲のことへの観察能力が下がってしまうことが理由です。上の空で運転していれば、危険な運転を犯すリスクも高まる訳ですね。

ギャンブルでの勝ち負けは何によって左右されるのか

運と言えば真っ先に思い浮かぶのがギャンブルという人も多いと思います。ギャンブルの勝ち負けの違いはどんな要因で決まっているのか見ていきます。

2014年のロンドン大学の776人のオンラインカジノでギャンブルをする人を対象にした、ホットハンドエフェクト(Hot Hand Effect)についての研究があります。ホットハンド(Hot Hand)とは、アタリの波に乗っている状態のこと。ギャンブルで大きな当たりをずっと持ち続ける人のことをホットハンドに乗っている人と言うそうです。

本研究では776人の中で勝ち続けるギャンブラーとスッカラカンになって負けてしまうギャンブラーについて分析が行われました。

そこから分かったことは、勝つ人も、負ける人も最初にヒットする(勝つ)確立は変わらないものの、大きな勝ち負けなど変化が起こった後の行動が全く違っていたことです

勝つギャンブラーは大きな勝ちを当てた場合、次も当たるのか冷静に判断し、不安になります。確率的に連続で大当たりが出ることなど無いことを認識しています。不安を活かしてギャンブルを辞めるか、掛け金を小さくして次のチャンスを待ったりします。勝てば勝つほど不安になるのですからギャンブルを辞める時期も早く、結果として多くのお金を維持できることになります。

負けるギャンブラーは焦ります。負けたときの大きな変化から判断力が落ちて、「負けを取り戻さなくては!」と焦燥し、賭ける金額を更に上げてしまいます。この取り戻そうとする意識が大きな負けを呼びこみ、結果としてすっからかんになるまで負けてしまいます。

勝つギャンブラーは確立を正しく認識して行動しているのです。損をしそうな確立を引いたときに、ちゃんと自分の賭けを自制できるかどうか。上手に損切りが出来て、危険なリスクには慎重に対処していることが勝つギャンブラーの特徴でした。

ギャンブルは快楽ホルモンであるドーパミンが出るので、結果をポジティブに感じてしまいます。ギャンブルと言った勝負では損を最小にして、冷静に当たりを待てるかどうかで勝負が決まるのです。

ギャンブルの確立は勝つ人も負ける人も同じ。ギャンブラーの心理状態で大きく勝ち負けが左右されるのです

運動で運は良くなる

運を良くするにはリラックスや不安をコントロール出来るようになる必要があります。ネガティブな物事を受け入れられる能力を鍛えるのがベストです。

ここで運動です運動が運を良くするのにベストな方法であることが実証されています

2017年のジョージメイソン大学が行った実験では、被験者にエクササイズ日記を付けて貰い、3週間後に分析しました。

その結果、運動しているグループほど行動的で、プロジェクトの達成や小さな目標達成と行ったポジティブなイベントが発生する確率が高くなりました

エクササイズで気分が前向きになり、身近な良いことに気づきやすくなった上に、行動実行力が高まりチャレンジの回数が増えたことが運の良さに繋がったのです。

しかし、エクササイズを休むと幸運の連鎖が消滅してしまう事も報告されています。

筋トレは裏切らない!っていうのも間違っていないのです。

クリエイティブと幸運 幸運に気づく能力セレンディピティを高める

運は自分の周囲の幸福に気づく力と言い換えられます。この身近な気づきを発見する能力をセレンディピティと言います。(参考:Wikipedia)

他の人が気づかないことを掘り当て、気づき新しいチャンスに変えていく力はクリエイティブな分野とも共通点があることが分かりました。

2012年シティ大学ロンドンが行った良い気づき、アイデアを生み出すプロセスのインタビュー調査の研究があります。結果としてクリエイティブ閃きやアイデアでは以下の3つの力が重要である事が分かりました。

クリエイティブな仕事に必要な3つの要素
・真新しい環境、情報への注意力
・新たな情報をつなげる洞察力
・新たなつながりを実際に実行に移す行動力が重要

クリエイティブとは別の言い方をすればこれまで結びつかなかった分野をつなげて更なる新しい可能性を生み出すこと。新しい情報への感度を上げ、アイデアをすぐに行動に移す素早い行動実行力がセレンティビリティの軸なので、良いアイデアを生み出す過程と気づきの運の過程は共通が多いと言えます。

更にシティ大学ロンドンでは、2014年に幸運を高めるためのセレンディピティ戦略として、6つの方法を提唱しています。

■1.情報の多様化
興味の無いジャンルに目を向け、普段知らない異なる情報に接することが重要とのこと。

当ブログの話をすると、あえて心理学もゲームもアートも色々ごちゃ混ぜにしています。アクセスや読者様的にはおそらくそれぞれのジャンルの特化ブログのほうがいいけど、こうした色んな知識が集まって、繋がる場を作りたい、と私は考えています。(管理的にも一つのブログの方がやりやすいという理由もありますが。)

■2.観察者視点
目の前の事に没頭するのではなく、一歩引いてみる観察者の視点を持つ事です。目の前の事に一杯一杯になっていては、先ほどの金のなる木の実験のように周囲の幸運に気づくことが出来ません。時々没頭から身を引いてみるといいでしょう。

■3.メンタルスペース
メンタルスペースとは心のゆとりのこと。つまり、毎日に余裕を持つことが重要です。のんびりできて、ボーっとできる空間や時間を持ち、適度に息抜きできる休憩の能力を高めることが重要です。

■4.境界線を緩める
情報に境界線を引かないことです。仕事とプライベートや専門分野など異なる情報との間に境界線を引かないこと。情報はごちゃ混ぜにした方が新しいアイデアが出ます。カテゴリの違う情報の間に壁を作るのはやめましょう。思いつくままにランダムな情報を得た方が、新しい閃きやアイデアが浮かびます。まさに当ブログもそんな感じです!色んな知識をこのブログに集積して、なにかクリエイティブなアイデアが生み出せないか実験しています。

■5.過去の体験を引き出す
閃きとは何かと何かが繋がった瞬間に閃くものです。色んなアイデアや知識をカチッと上手くつなげられると気づきを得やすくなります。自分の体験や人や本から得た知識を、今度新しく読む本、接する人と結びつけて見るといいでしょう。

■6.セレンディピティのための時間を取る
ぼーっと考える時間を増やすことで、実際にセレンディピティを得るためのまとまった時間を用意することも大切です。

幸運を良くするための方法まとめ

・幸運は思い込みから来ている。
・軽くリラックスした状態で楽観的に。不安と恐怖心、メンタルと向き合うことが第一歩。悲観的にならず、リラックスしてチャンスを待つ。
・常に新しい可能性を得られるように、一つの物事にこだわりすぎない、高い目標を作りすぎたり執着しないこと。
・何事も難しく考えず、まずは試して見る。
・ありのままに目の前のことを受け入れる。マインドフルネス瞑想に取り組み、メタ認知能力と不安に対処していくすべを学ぶ。
・運動習慣を取り入れる。
・不安、失敗を受け入れ、失敗許容力を高める。失敗しても別に死なないし、まぁとりあえずやってみるか、という感覚を持つ。深く考えすぎない。
・「いいことがあったらいいな」と考えつつも結果に執着せず行動や人との出会いを増やしていく。

こうして見ると、不安対策をすることがそのまま幸運体質と繋がっていることが分かります。一つの事に集中できず、飽きっぽい人は幸運を掴みやすいかも知れないですね。自分の身近の第三者から見た幸運な人を観察してみるのもいいと思います。

海外は真面目に運(Lucky)やアイデアといった研究があるのがいいですね。ギャンブルについての心理学研究もあり、なかなか知的好奇心が刺激され、今回まとめるのも楽しかったです。 

参考・出典

・メンタリストDaiGoの心理分析してみた 「運が良くなる心理学まとめ」2018/09/23放送分
Failure to see money on a tree: inattentional blindness for objects that guided behavior
Carry on winning: The gamblers’ fallacy creates hot hand effects in online gambling
As Luck Would Have It
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