組織を変えるための「特異性信頼」についてのまとめ

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組織の中から何か変革を起こしたいとき「特異性信頼」が重要になるという話です。組織の中で地位がない人が何か権力を行使しようとすると非難され、逆に権力を持つ人が何か改革を起こそうとすると称賛される傾向があるようです。

特異性信頼とは

特異性信頼とは、「ある集団が求める言動(規範)からどの程度逸脱しても良いかを表す許容範囲」のことです。いわば組織の中で好き勝手にやってもよい度合いで、この特異性信頼はこれまで組織に貢献してきた度合いで変化します。一般的に組織のトップほど特異性信頼は大きくなります。

これは組織の中で下っ端な立場ほど、物事を変えようと頑張ってもうまく行かないことを意味します。現状に意義を唱え、何か大きな事をするにはまず大前提としてその組織の中での居場所を作らなくてはいけないのですね。

そういえば私も昔アルバイトの立場でよかれと思って改善案を正社員の人に意見したら色々とめんどくさい事態になったものでした…。

シルビア・ベレッツァ(Silvia Bellezza)が行った実験では、被験者に一流大学の男性教授という名目で外見から人の印象を評価して貰いました。
それぞれ教授の格好が異なっていて、
・Tシャツにあごひげの姿をした教授
・ひげを剃ってネクタイをビシッと決めた教授
この二つの格好をした男性教授を評価して貰ったところ、Tシャツにあごひげの姿をした教授は14%も地位と能力が高いと評価されたのです。

私たちは「現状に意義を唱えようとする立場の低い人物を黙らせようとする一方で、立場の高いスターの逸脱には目をつむり、ときには称賛さえする。」のです。

一般的に教授職にある人の大部分はフォーマルな格好をするので、その標準に従わないと白い目で見られると思いがちです。そのため慣習に逆らい、Tシャツにあごひげといったラフな格好をしても問題の無い人は「自分の好きにしても良い」という特異性信頼を得ていることになります。

つまり組織の下っ端にいる間は唯々諾々と上に従った方が生き残りやすく、組織の上に行くほど真面目に凝り固まるよりもある程度は好き勝手した方が組織からの信頼性が向上するのです。

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参考・出典

「ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」が出来る時代」 アダム・グラント (著) シェリル・サンドバーグ (解説) 楠木 建 (監訳) 三笠書房 (2016/6/24)
Hannah Riley Bowles and Michele Gelfand, “Status and the Evaluation of Workplace Deviance,” Psychol ogical Science 21 (2010): 49–54.
Silvia Bellezza, Francesca Gino, and Anat Keinan, The Red Sneakers Effect: Inferring Status and Competence from Signals of Nonconfor mity, Journal of Consumer Research 41 (2014): 35–54.