自分は出来るという感覚「自己効力感」アルバート・バンデューラ

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自己効力感(じここうりょくかん)(英語ではセルフ・エフィカシー(self-efficacy))とはカナダ人心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自分は目標をやり遂げる事が出来るだろう」という信念のことです。自分は「きっとできる」という自己期待や有能感、物事を成し遂げることへの自信がこの自己効力感という概念です。

この自己効力感が低いと、批判やネガティブな感情にとらわれることが多くなり、「自分はどうせ出来ない」と思い込むことが多くなります。これではせっかくの人生、楽しく生きることが出来ませんね。

アルバート・バンデューラ 画像出典 Wikipedia

 

自己効力感を育てるには

では、この自分で人生を切り開く力のバックボーンとなる自己効力感を育てるにはどうすればよいのでしょうか。アルバート・バンデューラによれば、以下の要因が自己効力感に影響しているとのことです。

■達成経験(Experience, or “enactive attainment”)
達成経験とは、自分自身が何かを達成したり、成功した経験のことです。達成経験は最も自己効力感を高める要素とされています。

具体例)
・自分が企画した商品が大ヒットした。
・独学で志望する大学に入った。
・ダイエットに成功し、理想の体型に近づいた。
・医師国家試験、弁護士資格試験、公認会計士試験など難関とされる試験を突破した。
・スポーツやデザイン、ポスターコンペといった何らかの大会で優勝した。

何かを成し遂げるといっても簡単にやり遂げられるものではなく、長い期間、努力を継続してようやく達成できた経験が最も自己効力を高めるとされています。

■代理経験・追体験(Modeling, or “vicarious experience” )
代理経験・追体験は、自分以外の誰かが何かを達成したり、成功したりすることを観察することです。この考え方はアルバート・バンデューラが提唱したモデリング学習(観察学習or社会的学習理論)にも繋がっています。自分と似た誰かが上手くいったのなら、自分も出来るだろうと思うことです。

具体例)
・会社から独立したい人が、脱サラして上手くいった人の話を見聞きすること。
・自分と似た境遇で実際に成功した人がどのように成功したのかを本やネットで知ること。
・逆境や一般通念の殻を打ち破って幸福で成功した人の話を見聞きすること。
・映画や小説などの物語で、困難に打ち勝ち何かを達成した登場人物に感情移入すること。

■言語的説得(Social persuasion)
言語的説得は、他者から言葉によって「自分に能力がある」と励ましてもらうことです。「実は自分は自分の思っている以上に出来るのでは」と気づくことで考え方や見方を変えるのです。

具体例)
・カウンセリングの現場でのやりとり。
・社長や顧問からの叱咤激励。
・友人や知人からの励まし。

■生理的要因(Physiological factors)
生理的要因はその時の体調や気分が自己効力感の高低に影響していることを意味します。ストレスフルな状況では、何かを成し遂げる意欲は下がってしまいます。逆に、お酒や薬物などでハイな状態になって、何でもやり遂げてしまう気分の時も一時的に自己効力感は高まります。

具体例)
・お酒を飲んで開放的な気分になる。(自己効力感Up)
・悪天候続きだったり、慢性的なストレスで気分が沈む。(自己効力感Down)
・ジェットコースターといった絶叫マシンでテンションアップ。(自己効力感Up)
・病気や風邪で寝込んでしまったとき。(自己効力感Down)

 
また、心理学者James E. Madduxさんによれば、以下の「想像的体験」も自己効力感に影響するとのことです。

■想像的体験(Imagined Experiences)
想像的体験とは自分や他者の成功体験を想像することです。自分のすることがきちんと未来の目的に向かっているか、成功のイメージが描けているかが重要です。上手くいかない想像をすると、本当に出来なくなってしまう事もこれに該当します。自分の想像したイメージが実際の未来の結果に影響してしまいます。

具体例)
・イメージトレーニングを積んだスポーツ選手・アスリート。(自己効力感Up)
・本番前に緊張しすぎて不安から失敗を想像してしまい、案の定失敗してしまう。(自己効力感Down)

 

自己効力感のタイプ

補足的な情報ですが、自己効力感にはセルフコントロールに関するもの、対人関係に関するもの、学業や仕事での達成に関するものなどがあります。ここで重要な事は、ある一つの分野の自己効力感が高いからといって、他の分野の自己効力感が高いわけではないということです。人間誰にでも得意不得意があるので、苦手な分野や得意な分野は一体なぜ自己効力感が低いのか、高いのかを考えてみるといいかもしれません。

私個人の意見としては、自己効力感が低い分野は失敗を恐れて挑戦しなかった事が多く、高い分野は失敗などお構いなしにとりあえずやってみたりして行動の絶対量が多い分野だと思います。

まとめ

自己効力感は自分の人生を自分で切り開くためのバックボーンとなる要素です。自己効力感がなければ、「自分はどうせ何もできない」とチャレンジすることも行動することもなく、人生は受け身で流されるがままになり、鬱屈とした人生になってしまいます。以前まとめたキャロル・デュエックの「マインドセット」の本文中にもアルバートバンデューラの自己効力感は出てきますが、人が困難に挑戦し、何か物事を成し遂げる上で「自分は出来る」という確信を抱くことは欠かせない素質なのです

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■参考

アルバート・バンデューラ(Wikipedia)
自己効力感(Wikipedia)
Self-efficacy(Wikipedia)
Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191-215.
Muddux, J. E.. Shane J. Lopez and C.R. Snyder. ed. Self-efficacy: The Power of believing you can.

 
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