人は誰でも同調圧力に屈する アッシュの同調実験 Asch conformity experiments

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人は誰でも同調圧力に屈してしまうことを証明した有名な心理学実験があります。ポーランド出身のアメリカの心理学者、ソロモン・アッシュが1951年に行った同調実験です。この実験はとても有名で、私も心理学科の1年生のころに必修科目として扱いました。人は自分が想像している以上に同調圧力に負けてしまうことが示唆されています。

実験デザイン

アッシュの最初の同調実験は1951年Swarthmore Collegeで行われました。

アッシュの同調実験 Swarthmore College (1951)
・簡単な認知機能のテストをすると被験者に告げる。二つの図形が描かれたカードを使う。
・8人の男子学生が呼ばれ、そのうち1人だけが実験の対象者で残り全員はサクラ(おとり)に設定。
・カードに描かれた画像は以下の通り。被験者は画像を見て、

左の画像の棒の長さと同じ長さを持つ棒を右の画像のABCから選ぶ。

明らかにCが提示された棒と同じ長さの棒だと分かりますよね?Aは短く、Bは長いといった明確な違いが付けられています。

この実験の肝となる部分は、サクラ(おとりの被験者)にいろんな条件をつけて被験者に対して同調圧力(peer pressure)を与え、被験者がどう回答するのか?同調圧力に屈して同調(conform)してしまうのか?を調べたことです。

サクラを用意し、同調圧力を調べる
サクラが全員一致して間違った答え(この場合AとかB)を選択したとき被験者は同調せずに正しい答え(C)を選べるのか
・サクラの中の1人が正しい解答を選んだとき(同調圧力を下げたとき)被験者の正解率に変化はあるか。
 →比較のためのコントロールグループでは全く同調圧力を与えない条件を設定した。
・真の被験者はサクラの後に解答する。(もちろん真の被験者はサクラがいることを知らない。)

結果

複数の試行が行われ、正しい解答は明確にCであることが示されているのにもかからわず、平均して32%もの被験者がサクラに同調して誤った解答(AまたはB)をしました。さらに12回の試行のなかでは75%の被験者が最低一回は誤った解答(同調)をしてしまいました。
また、同調圧力を無くしたコントロールグループでは、1%以下の被験者が誤った解答をしました。(この1%の被験者が気になって仕方が無いのは私だけだろうか…!)

サクラに同調して間違った解答を選んだ人たちは実験後インタビューが行われ、彼ら曰く「自分が選んだものは正解とは思っていないものの、自分一人が正しい解答をして目立つことで集団から冷やかされることを恐れた。」と答えました。ほんのわずかな数人は、みんなが選んだ解答が本当に正しい解答だと答えました。多くの人は自分が正しいと思う選択よりも、集団の選択のほうがより影響力・説得力があると感じて、集団に合わせる傾向が実験から分かりました

まとめと発展

・本当に正しい解答が目の前にあっても、集団がそれを認めない状況下だと正しい解答を選べず、集団に合わせた同調行動を人はしてしまう。
・集団での意思決定は、正しくないものが正しいものとして選択されることがある。(声が大きい人が強くなる)
・個人が集団の意思決定に同調するのは、自己防衛を兼ねている。その方が自分にとって集団から攻撃されるリスクが少ないから。社会的動物らしい人間の特性。

動画

◆参考

Asch Experiment
Asch Experiment: Bases, Procedure and Results
Asch conformity experiments (Wikipedia)
ソロモン・アッシュ Solomon Eliot Asch(Wikipedia)

 
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