完璧主義、完全主義のデメリットと対策



完璧主義、完全主義(Perfectionists)とは物事を完璧にこなそうとするあまり、かえって物事がはかどらず、仕事の成果も出ない状態のことです。私も昔は自分の完璧主義傾向に悩まされており、大学の卒論のテーマにしたのも完璧主義でした。今回はそんな完璧主義のデメリットの特徴と、どう対処しているのかについてまとめます。

完璧主義の欠点1 決断ができなくなる、決断に時間がかかる。

完璧主義は常に最高の決断をとりたいがあまり、決断に時間がかかり、何をするにも時間がかかります。例えば何かを買うという意思決定についても最高のものを買うために入念に下調べをしたりします。完全無欠なパーフェクトな選択を取りたいがあまり、調査や準備に時間がかかってしまいます。

完璧主義の欠点2 埋没費用効果(サンクコスト)にめっぽう弱く、いつまでたっても失敗や損失を受け入れられない。

埋没費用効果とはこれまで自分が投資してきたものの失敗に終わってしまった物事のリターンや見返りをいつまでも求めてしまうこと。別名コンコルド効果ともいって、このまま長期的に時間やお金・リソースを投資し続けるのが損をする結果になっても、これまで投資したからやめられない、という精神状態になってしまい現在の判断が鈍くなります。

自分は過去にこれほど頑張ってきた、お金を使ってきたから、失敗を失敗として受け入れられず、どうにか挽回できないかと過去の失敗を取り戻そうとずっと引きずってしまいます。回収不能な失敗は教訓として次に生かす糧とするべきなのに、失敗や損を受け入れずに現実を見ないために泥沼にはまってしまうのです(失敗を失敗として捉えられないから失敗から学べない、成長できない)。

過去の自分の行動に引っ張られて、現在の自分の認知判断が影響される例。
・受験に一生懸命頑張ってきたけれど、失敗に終わってしまった。不本意な大学に入ってしまったことをいつまでも気にしてしまい、大企業志向、名門大学への思い込みがより強くなってしまう。→中小企業や名門と言われない大学を見下す傾向が強くなる。テレビで東大とか偏差値の高い大学の名前が出てくるとイラっとする(学歴コンプレクス)。
・株価で大損してしまった。取り戻すためにナンピン買いをしてしまう。

完璧主義の欠点3 失敗にとらわれ、挑戦しなくなる。実戦ではなく準備ばかりに時間を使う。

完璧主義は失敗を恐れ、「全てうまくいく」ことに執着するあまり、自分の未知の分野への挑戦をしなくなります。彼らが何をするのか、それは挑戦への準備です。とにかく、完璧主義者ほど準備に時間がかかります。何年も作品を発表せずに自分の世界にこもるクリエイター志望の人や、さっさと就活に挑戦して実務経験をすればいいのにいつまでも自分磨きとして参考書片手に読書や自分磨きに勤しむ人は完璧主義の傾向があると言えるでしょう。

挑戦しないから、いつまでたっても自分の立ち位置がわからないですし、本当に自分の必要なモノ(世間から求められている能力)がわかりません。自分で準備期間というモラトリアムを定め、その居心地良い殻にいつまでも閉じこもってしまいます。その根本には、自分の失敗を受け入れられない、耐え難いものとしてとらえてしまう傾向が強いことが考えられます。失敗はとても受け入れ難いので、自分が完璧に準備ができるまでは行動できないのです(そして永遠に終わらない準備へ…。)。

完璧主義の欠点4 高い基準を他者にも求め、他者との関係が悪くなる

自分の周りの人にも自分なりの基準を当てはめようとする人は完璧主義の傾向にあります。周囲のレベルの低さを嘆く学生や、結婚できない独身男女はこの傾向があるでしょう。他者にも自分基準を持ち出してしまうから、当然諍いが発生します。考察してみるに、完璧主義の人が無意識に周りを見下したりするので、それが言葉には出ないとしても態度に出てしまい仲が悪くなるのだと思います。彼ら自身も自分で決めた高い完璧な基準を満たすのに必死だから、他者を思い計る余裕がないのかもしれません。

ちなみに私の卒論のテーマは完璧主義と相談行動で、完璧主義の人ほど誰かに相談したり、甘えることが苦手(自分の弱み、欠点を晒すことになるから)なのではないか?と思って調査したのですが、ほんのわずかな弱い相関しかありませんでした。自分を開示することと失敗とはあまり関係がないのかもしれません。

完璧主義の欠点5 自分の失敗や弱み、欠点をいつまでも反芻して引きずる。

完璧主義者は小さな失敗や欠点をいつまでも気にしてしまい、引きずってしまいます。人間だからミスは当たり前なのですが、少しのミスが大惨事のようにとらえてしまうため、自分のしてしまったミスをいつまでも引きずり、反芻します。ミスを恐れるあまりにミスに執着し、二度と同じミスはしないように意識を高めるのですが、それがかえって次回の失敗への意識を強めてしまい行動できなくなります。

対処法 完璧主義は失敗を恐れ、行動できない。失敗を許容するマインドセットと、完璧でなくても成果が出せることを自覚することから始める。

生きづらさを感じたり、何をするにも時間がかかり過ぎてしまって適当ができない人、ピリピリしている人は自分が完璧主義に陥っていないか考えてみましょう。日常生活のすべての側面で完璧主義になるわけではなくて、部分的に、例えば仕事ではめちゃくちゃ完璧主義になってしまう、ということもありえます。職人など最高の高みを目指す仕事をする上で完璧主義は武器になりますが、失敗を回避する完璧主義は普段の生活ではとても生きづらいもの。では、どう対処すればいいでしょうか。

まず、完璧主義は失敗の捉え方が偏っています。失敗に関してあまりに悲観的で悲壮的だからうまく行かないのです。この認知をまずは変えていく必要があります。失敗は成長をもたらし、自分に足りないものを気づかせてくれる学びと成長である、と考えてみましょう。

また、過去に体験した自分の成功した部分を思い返してみてください。思いの外、完璧にやらなくてもうまくいった事例があるはずです。完璧主義者は自分の失敗にはいつまでもこだわるのに、自分の成功には無頓着です。自分がどういう状況、気分、心構えの時に物事がうまくいったのか振り返ってみてください。たいした準備もしなかったのに、うまくいった経験を思い起こせればベストで、完璧じゃなくても物事はうまく進むんだ、という気づきをもってください。

そして日々の行動は準備ベースではなく、行動実践ベースにしましょう。参考書ばかり読んで、やった気分になるのではなく、ちゃんと問題演習をしましょう。勇気を持って実践の場に出かけ、身体での学びと経験による学びを重視しましょう。日々の進捗や達成を記録しておくのもかなりオススメです(私は10年以上日記をつけています)。

失敗は成長であり、完璧にやらなくても物事はなるようになるし、頭で考えるだけではなく勇気をもって実戦の場に飛び込むことの有益性を自覚しましょう。行動ベースに自分のできる範囲での小さな挑戦を続けていくこと。このことを心がけていけば、完璧主義の良い部分を活かしつつ、ちゃんと成果も出せるようになると思います。