面接ではその人のことを正しく評価・判断できないから、落ちても気にするだけ無駄という話

面接ではその人のことを正しく判断できないから、落ちても気にするだけ無駄という話

就職や転職活動、大学入試など希望先と面接する機会は多くありますが、不採用だったとき、まるで自分が無価値であるかのように落ち込みますよね。でも実際は面接官が応募者を正しく評価・判断するのは不可能に近く、正しく応募者の能力を測ることが出来ないことを示唆する調査があります。

テキサス大学医科大学院の面接の評価とその後の調査

心理学者のロビン・ドウズ(Robyn M. Dawes)によれば、1979年のテキサス大学医科大学院は入学希望者の上位800人に面接を行い、7点満点で評価しました。面接の評価は入学選考に大きく影響を与える要因の一つで、このテキサス大学大学院は面接で800人中上位の350人の学生しか入学を認めませんでした。

しかし、テキサス州議会から突然あと50人余分に学生を入学させるよう達しが来て、たまたまその時残っていたのは面接での成績が下位の人達しかいませんでした。そこで学校は面接の成績順位が700位から800位の底辺のグループから50人を入学させました

結果はどうだったでしょう?面接で高く評価された上位の生徒ほど入学後の素行や態度、成績が良いと思いますよね。しかし、入学後の経過は面接成績上位の人と下位の人ではまるで変わらず、卒業率も中退率も優秀賞を受賞するかどうかも何も関係ありませんでした。その後社会に出てからの研修期間中の社交能力にも違いが見られず、結局面接で分かるのは面接の能力だけという結果に。

面接ではその人の事が正しく判断できないのになぜ面接に頼るのか。

今回取り上げたのは1979年の調査ですが、その後も面接ではその人の仕事の能力を予測することが出来ないとする調査結果がいくつか示されています(他にも前職の経歴は仕事の能力を予想するには全く役に立たないとする調査もある)。なぜ採用担当者は面接という形式に依存するのでしょう。

それは、私たちは自分で相手の事を正しく評価できると思い込み、面接で何もかもわかったつもりになるからです。確証バイアスで自分の印象に近い情報を探したり、わずかな情報から相手の全てを推し量ろうとする。ただでさえ面接の場面では時間が限られているから、正しく評価判断することなど不可能という訳です。

要は面接なんて面接官が気に入るかどうかというだけフィーリングや相性の方が大事です。不採用を喰らったからといっても自分が無価値だと落ち込む必要は無く、逆に面接に通過したからって自分は有能だと思い上がるのもどちらも間違っているということです。

面接が苦手な人ほど本来の評価を得られないのは勿体ないですね。処世術として、面接はテクニックとして割り切りどれだけ相手に好印象を与える事ができるか、というゲーム感覚でいいと思います。…採用面接ほど茶番を感じる場面はなかなか無いですね。

海外ではこの対策としてGoogleが取り入れている構造化面接(すべての応募者に同じ質問をして、同じ尺度で回答を採点し、事前に決められた一貫した採用要件を経過させる手法)や、採用プロセスの中で離職に繋がりそうなありのままの不都合な事実(実際にあったキツい顧客対応など)を提示するRJP(Realistic Job Interview,離職率が大幅に低下する手法)などで面接官のバイアスによらない面接手法が模索されています。

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【書評と要約】「決定力!正しく選択するための4つのステップ」 チップ・ハース,ダン・ハース著

参考・出典

・「House of cards : psychology and psychotherapy built on myth by Robyn」 M. Dawes New York Free Press
・「決定力! ――正しく選択するための4つのステップ (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 」チップ ハース (著), ダン ハース (著), 千葉 敏生 (翻訳) 、早川書房 (2016/11/9)
・「直観を科学する―その見えざるメカニズム」デヴィッド・G. マイヤーズ (著), David G. Myers (原著), 岡本 浩一 (翻訳) 麗澤大学出版会 (2012/05)
Jean M Phillips(1998) Effects of Realistic Job Previews on Multiple Organizational Outcomes: A Meta-Analysis
ガイド: 構造化面接を実施する – Google re:Work