読書スキルを高めるには 読書のメタ分析とワーキングメモリーと読書力について

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前回の読書術に関しての記事では積ん読や読書で躓きやすいポイントに関して扱いましたが、今回は実際に「読書スキル」を高めるためにどうすれば良いのかをみていきます。カーネギーコーポレーションの読書に関するメタ分析(出典pdf英語)の紹介と、ワーキングメモリーと読書に関して見ていきます。

読書のスキル自体を高める方法

カーネギーコーポレーションは読書力と読書についてのメタ分析(2010年)をしました。感想文や要約、読書ノートといったように、本を読んだ後どういうアウトプットをすれば内容が頭に入るのか論文を精査し、調べたのです。今回のメタ分析ではそれぞれの方法に対して、効果量の測定をしました。効果量は0から1の範囲で、1に近づくほど効果的と言うことです。(0.7を超えたら絶大な効果があるといえます。)

読書力の定義

・読書体験から得られた内容の理解と記憶の深さ
・集中して読書が出来て、スラスラと頭に入っていく感覚
・読書のスピードに理解度が追いついていること

自由に文章を書くこと 効果量0.3~0.5

本を読んだ後に、自由な内容の文章を書いた場合、読書力への寄与率は0.3~0.5。まずまず?の効果量です。

読む本の内容に疑問を立てて、その答えを見つけるように内容をまとめること 効果量0.8

本を読み進めるときに自分で疑問を考え、その疑問を解決するように本から答えを探していき、見つけた答えを要約した場合は効果量0.8。極めて高い効果量です。

自分の頭で積極的に読書に参加していく姿勢が脳をフルに活性化させ読書力の向上に繋がったのでしょう。読書能力を高めるためにも、本の目次を読んで疑問を考えたほうがいいみたいですね。本の内容に疑問を持つことが脳の情報センサーのスイッチを入れるのです。

本の要約を書くこと 効果量0.3~0.85

本の要約を書くのは0.3~0.85の効果量になりました。幅がありますが、年齢が低い子供であればあるほど効果が高いとのこと。大人でも効果はありますが、子供の時のような大きな効果は見込めず、効果量は人によるそうです(読書習慣がなかった人ほど効果が高くなる?)。大人の場合は、内容の言い換えや、疑問付けをした方が効果が高いとのこと。

本の情報をそのまま写したりすること 効果量0.47

本に書かれた情報を単にメモしたり、ノートに情報をそのまま写したりすることは0.47の効果量でした。まぁまぁな印象ですが、飛び抜けて効果的というわけではなく、「綺麗なノートを作る人が成績がいいわけではないということ」と繋がりますね。

他人が作った疑問に答えること 効果量0.27

国語の問題集や先生が作った現代文の問題など、他人が作った質問に答えながら読むのは0.27の効果量でした。読書能力も上がらないし、頭にも入らないとのこと。国語は教えて成績を伸ばすと言うよりも、読書を好きにさせる方が重要でしょうね。

うまい文章を書く方法への知識を高める 効果量0.17~0.25

文法への理解や上手な文章の書き方への知識を高めた場合は、効果量0.17~0.25というあまりパッとしない効果量でした。文章の書き方を学ぶことによって、読書力が上がるわけではないそうです。文法が出来たり、うまい文章を書ける人が読書も得意というわけではないようです。

正しい言葉の使い方を学んだ場合 効果量0.6

語彙の豊富さや専門用語の使い方など、「言葉」に関しての知識を高めた場合の効果量は0.6でした。語彙力が高まれば内容をイメージする能力も向上しますね。語彙力を強化することは読書のつまづきも解消し、読書力も向上します。

ワーキングメモリーを鍛えることが読書能力向上に繋がる。

では次にワーキングメモリー(短期記憶)を鍛える事と読書について見ていきます。これは2010年のテンプル大学の研究(出典pdf英語)で、42人の男女に複雑な認知課題をさせてワーキングメモリーを鍛えさせました。その結果、ワーキングメモリーを鍛えたグループでは、脳の実行機能(※ストループ課題による)が60%も向上しました。また、読書能力に関しても20%と大きく向上したのです。

脳の実行機能は計画通りにその時するべき事を実行する能力のことで、集中力にも関係します。ワーキングメモリーを鍛える事で、読むスピード・正確性も向上し、地頭を鍛えることにも繋がったのです。

ワーキングメモリーを鍛えるには?

ではそのワーキングメモリーを鍛えるにはどうすればいいのでしょう?

多くの研究がありますが、瞑想が有効です。瞑想してワーキングメモリーや実行能力を鍛える事が読書能力の筋トレにもなるのです。

要約はいつするのがいいの?

本の要約はいつするのがいいのか?という疑問に答えてくれる研究では、2008年のカレッジ・オブ・デュペイジ大学の研究があります(参考)。本を読んですぐに要約に取りかかるのと、翌日に要約するグループを比較した結果、翌日に要約した方が効果が高いことが示されました。要約は一歩引いたときの視点が重要なようです。(本ブログの読書のまとめも数日かけて行っています…!。)

読書をした後は時間を空けて、翌日に大事なところはどこだったかを考え復習も兼ねて要約することが読書スキルの向上に繋がったのです。

まとめ

カーネギーコーポレーションの読書についての調査では、
本の要約をすること
自分で疑問を作ってそれに解答するように読むこと
専門用語、単語を把握して語彙力を増やすこと
の3つが読書能力の向上に効果的である事が分かりました。

テンプル大学の調査ではワーキングメモリーを鍛える事が読書能力の向上に繋がりました。
そしてデュペイジ大学での調査では要約は翌日など時間を置いてから行った方が効果的だと分かりました。

関連記事

積ん読防止の読書術 メルボルン大学式Reading Skillsチェックリスト

参考

Writing to Read A Report from Carnegie Corporation of New York Evidence for How Writing Can Improve Reading (pdf英語)
Expanding the mind’s workspace: Training and transfer effects with a complex working memory span task Jason M. Cheinand alexandra B.Morrison Temple University, Philadelphia, Pennsylvania(出典pdf英語)
Why do delayed summaries improve metacomprehension accuracy?
・ニコニコ動画チャンネル メンタリストDaiGo「積ん読卒業!難しい本がサクッと読める読書ノート術」2018年8月放送分

 
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