【ネタバレ配慮ゲームレビュー】夏にぴったり?和風ホラーアドベンチャーゲーム「レイジングループ」ケムコ

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今回は人狼(参考外部リンク)と和風ホラーの要素をミックスしたノベルアドベンチャーゲーム「レイジングループ」をレビューします。序盤こそ物語はゆっくり進みますが、一旦事件が始まり、ハマったときは辞めどきが分からない状態で、夜更かし必須のゲームです。クリア後のオマケなど含めて全部のテキストを読み終えるのに55時間ぐらいはかかった感じです。TrueEndを迎えるのなら30~40時間でクリアできると思います。

//以下のレビューはネタバレに配慮していますが、ゲームの仕組みや登場人物など最低限のネタバレが含まれます。そういったネタバレが嫌いな方は戻ってください。//

レイジングループ
ジャンル:ホラーサスペンスアドベンチャーゲーム
発売元:ケムコ
ディレクター&シナリオ:amphibian
iOS/Android:2015年12月3日
PSVita:2017年1月11日
PS4:2017年3月1日
Switch:2017年8月3日
PC:2017年8月24日

どんなゲーム?世界設定は?

元々「レイジングループ」は2015年にスマートフォン向けアプリゲームとしてリリースされました。徐々に評判を獲得していき、長らくダウンロード専用ソフトとして発売されてきましたが、2018年1月にはPS4パッケージ版がリリースされたとても珍しいソフトです。パッケージ版がリリースされたという事で一定以上のクオリティは担保されているようなもの。メーカーはケムコ(コトブキシステム)で、ファミコン時代には「ディジャブ」「シャドウゲイト」「悪魔の招待状」といったアドベンチャーゲームを世に出した昔を知る人には懐かしいゲーム会社です。今回私はPS4ダウンロード版でプレイしました。

このゲームを買った経緯は、このゲームを知る少し前に初めて実際に人狼ゲームをプレイしたきっかけがあったんです。結果は村人なのに人狼とされて負けたのですが、人を騙し協力し合う心理戦の要素がてんこ盛りの人狼ゲームに興味を持つきっかけになりました。もっと人狼ゲームのことを知りたいな、と思ったときにたまたまネットサーフィンをしてこのゲームと出会いました。

このゲームをプレイするにあたり、人狼ゲームのことは一切知らなくても問題ありません。むしろ作中で丁寧にゲームのルールが説明されている(人狼ゲームを別の動物に置き換えたものになります)ので、実際の人狼ゲームをより一層理解できるようになります。

ゲームの世界観は、主人公の房石陽明(ふさいしはるあき)がバイクで旅をしているときに田舎の奇妙な集落に迷い込んでしまい、そこで実際に人を殺しあうリアル人狼ゲームに巻き込まれてしまう内容となっています。日本の田舎の人間関係や地域独特の信仰や神話などを上手にノベルゲームに落とし込んだ形となっており、そうした和風ホラーが好きな人にはたまらない内容となっています。

リアル人狼ゲーム(殺人儀式)である「黄泉忌みの宴」 ©kemco

 

集落に一旦霧が起こると「黄泉忌みの宴」という絶対に逃げられない殺人儀式が始まります。それはリアル人狼ゲームというもので、夜には必ず誰かが殺され、昼には処刑する人を一人選ばなければなりません。ルールを破ることで穢れという死が待っており、集落から出ることもできません。主人公はその集落での人間関係、発言力を持つ人物に振り回されながらもこの宴を乗り越えていかなくてはなりません。

死んで記憶を保持しつつ最初からループすることで手がかりを集めていく

ゲーム性についてですが、このゲームの一番の特徴として、主人公は死んでも記憶を保持しつつ最初からやり戻せることにあります。死んでも始まりから再開できることから、これまで知らなかったヒントや情報を元に事件を解明していくことになります。本来なら知り得ない情報を命と引き換えに集めていきます。主人公が頭が良く、ちょっとサイコパスなところが逆に頼りがいがあり、プレイヤーはひたすら物語を読みすすめていく形となります。実際にプレイヤーがガッツリとした人狼ゲームが出来る場面はむしろ少なく、主人公が正解を提示していくので人狼ゲーム的ホラーサスペンス読み物ゲームといえるでしょう。ですから人狼ゲームが苦手な人でも進めることが出来ますが、逆に人狼ゲームをガッツリやりたい人向けのゲームではないでしょう。

やり直し前提のゲームシステムの設計がすごく快適で、フローチャートから選択肢の直前に事細かにジャンプできたり、スキップ機能も充実しています。自分が今物語の中のどこにいるのか、どの分岐点にいるのかが後から見返したときにすぐ分かるようになっています。

このあたりは前回レビューしたデトロイトビカムヒューマンでは足りなかった要素ですね。

本当に命をかけた人狼ゲームのスリル

いくら主人公は死んでもやり直しができるとはいえ、実際に死に至るまでの過程では驚きやスリル、得体の知れない恐怖があり毎回ドキドキします。音楽演出も恐怖や緊張感、異常事態を上手に演出して怖さ倍増です。グロテスクな絵こそないものの、それを示唆するイメージや文章、音楽はかなりエグいです。一体なぜこの集落の人たちはこんな儀式にとらわれているのか、なぜこのような儀式が始まったのか、どうすればこの儀式から脱出できるのか、など数多くの謎や伏線がちりばめられ、ストーリーを進めて行くにつれて回収されていきます。それぞれ個性ある登場人物たちが、あるときは心強い味方となり、あるときは敵となり、また予期せぬ行動によって宴の流れが一気に変わることもあって先が読めない展開になっています。普通のメンタルを持つ主人公ではこの異様な雰囲気に飲まれてしまうこと必須。私はこの作品ほど主人公が頼りがいがあると思ったことはありませんよ…!

う〜ん、と思うところ

よく作り込まれた良質なノベルアドベンチャーゲームですが、気になった点もいくつかあります。

・物語が本格的に動き出すのに少し時間がかかる。最初の事件までは踏ん張ってプレイしてみて欲しいです。
・「死に戻り」によって物語のキーを集めていく仕様上、明らかに死亡フラグである選択肢を選ばざるを得ない状況があり、「選択させられている感」がある。
・ギャク・コメディの部分とシリアスな部分との温度差が激しいです。本編は抑え気味ですが、クリア後のオマケシナリオは特にそうで、内輪で盛り上がっている感があってゲーム全体の質がちょっと落ちてしまった印象。(同人ゲーム的な雰囲気。)
・ネタバレになるので詳しくは書けませんが、一部本作を遊んでいるだけでは分からない要素、ケムコの別作品とのつながりがある箇所・設定が突如出てきます。それもただのファンサービス的にチラっと出てくるのではなく、物語にも関わってきます。このレイジングループで一番残念でもったいない点です。

他のレビューでは声優が棒読みであるとの指摘もありますが、私自身は問題なく、むしろこの作品においてはいい味を出している要素だと考えています。絵柄も同様で、プレイした後だとこのイラスト含めてレイジングループの良さなんだな〜、と思います。
ただ、本編に自社の他作品の設定を持ち込むのは、レイジングループからケムコのゲームに入る人には不親切ですね。(一応、制作者もインタビュー記事で反省点と捉えているようですが。)「レイジングループ」をプレイする価値を損ねはしないものの、作品の本質とは関係の無いところで評価を下げる要因だと思います。

総評

満足度は80%。和風ホラーと集落・土着の信仰や神話、人狼ゲームのスリリングな心理戦を上手く一つの作品に落とし込んでいます。このゲームをした後では人狼ゲームに対する見方や態度も変わってくるでしょう。クリア後に選べる暴露モードでは、「登場人物があのときどういうことを考えていたのか」心の声がのぞけるようになります。これも本作の面白い部分です。コンプリートも時間さえあれば簡単で、私はPS4のプラチナトロフィーをこのゲームで初めてゲットしました。毎日が退屈で、ちょっと刺激が欲しい、夏にぞっとしたい人は是非プレイしてみてはいかがでしょうか。夜中に一人でプレイするのはお勧めしません。

公式トレーラー

クリアした後、作品の世界観を知るために設定資料集も買ってしまいました。値段が張りますが、レイジングループ誕生の背景や設定、本編だけでは疑問に残ったことなどすべてを知ることが出来ます。(必ずクリアした後に読んでください)

参考

レジングループ 公式サイト
電ファミニコゲーマー「ケムコって、ファミコン時代のメーカーでしょ? ざんねん!! ケムコの ぼうけんは モバイルアプリしじょうで つづいていた!!」
ファミ通.com「『レイジングループ』PS4パッケージ版が2018年1月25日に発売! キーパーソンたちに聞く、老舗ケムコがパッケージ販売に再参入する理由(1/4)」

 
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