黒川塾65「君たちが生きるためのヒント」古川享 体験レポート

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先日2018年11月29日(木)にお茶の水ソラシティのデジタルハリウッド大学で開かれた、黒川塾65「君たちが生きるためのヒント」(ゲスト:古川享)に参加して話を聞いてみました。古川さんは日本マイクロソフトの初代代表取締役を務めた人。ビルゲイツとの交流や最先端のITやカメラの話、ゲーム業界のレジェンド達との逸話など、興味深い話がたくさん聞けました。逸話についてはかなりオフレコな話が多く、とてもネットで公に出来ない裏側の話がたくさん聞けました。

ゲスト

古川享(ふるかわすすむ) –Wikipedia
マイクロソフト(現日本マイクロソフト)初代代表取締役社長。慶應義塾大学教授。

大ボリュームの講演と古川さんの生い立ち

今回はかなりの大ボリュームでした。黒川塾にはほとんどない延長もしたほど。まずは古川さんの生い立ちの話です。

私は古川さんのことは知らなかったのですが、古川さんの経歴が面白くて。進学校にいたものの、英語が全くできずに3浪して和光大学の人間関係学部へ行ったとのこと。そこで男女の性差はどこから生まれるのか疑問に持ち、性差心理学やフロイトの精神分析などを学んでいたのですが、結局このままでは卒業しても就職はないだろうなぁ、と考えていたと言います。たまたま「アメリカでチップというものを組み合わせればコンピューターというものができ、これが世界を変えるらしい」という話を聞き、アメリカに留学。その8ヶ月の留学期間で開眼し、帰国後は大学を中退し、アスキーに入社することになったとのこと。そのあとマイクロソフトの立ち上げに携わったり、ビルゲイツとのやりとりで心労を起こしたり、といろいろな話が聞けました。

生き方としては自分の好きなもの、情熱が持てるものを追求して、自分の軸を曲げることはしないという生き方。こうしたアウトローの道を突き進んで自分の信念を曲げない姿勢がカッコいいですね。

今ある豊富な知識や情報収拾の技術はアスキー時代に記者をしていたことが大きく、朝起きてみんなが寝ている時に情報をせっせと集めることを続けていたそうです。世の中の「知識がある」と思われている人の多くは、たくさんの情報をつまみ食いして、自分の中で咀嚼し、まとめて伝えるのが上手い人とのこと。飛び抜けて何かを知っている専門家ではないけれども、噛み砕いて要点の知識だけたくさん仕入れてはアウトプットしていることで、あたかも自分が知識面において他者よりもずば抜けているような印象を与えているのだそうです。

最先端技術の紹介と生き方

「生き方」のヒントを交えつつも、最先端技術の紹介にもかなりの時間が割り当てられていました。写真が好きだということもあって、カメラや映像機材についての紹介が多かったです。

個人でも何か新しいサービスを発明して成功すると数億~数十億稼ぐ事も夢じゃ無い時代に突入したんだ、と実感。テレビもオワコンと言われているけれど、技術の進歩により、ネットと組み合わさって新しいサービスが生まれている事例が紹介されました。

生き方については、古川さんは自分に「元マイクロソフト」というレッテルが貼られていることを自覚しつつも、アメリカのグーグル本社の隣にあるコンピュータ歴史博物館に自分の生徒らと一緒に歩いていたら、鉄道写真家の古川って言われた(アメリカで鉄道の写真集を出版していた)エピソードを紹介。

会社にこだわるのではなく、自分自身のブランドを作り、自分自身がこれしかできない、というのを持つのが重要とのこと。ブランドを持つといっても、会社のブランドや大学にしがみつくのではなく、男女などの外側や社会的規範とも関係ないもの。自分の中に何も持たないと、そうした外部の価値基準にしがみついてしまうとのこと。会社とか外部の価値観とか関係なく、自分の人生、自分が何をやるかを考えることが大事と言っていました。

IT業界の偉人たちの話

IT業界のステーブ・ジョブズとビルゲイツについての逸話も聞かれました。
スティーブ・ジョブズについては、スタンフォード大学の卒業のスピーチばかり取り上げられますが、若き日のインタビューも必見とのこと。

20代で大富豪になったジョブズは、お金を稼ぐこと、富を得ることを目的にしていないとのこと。そうではなく、会社や自分のしていることに意味を持つこと、愛や情熱を持つことを重視していることが伺えます。自分が正しいかどうかにこだわるのではなく、最後にした決断が成功につながれば良く、視野を広く持つことの大切さやコンピューターを何かを伝える道具として開発し、インターネット技術の発達が人類を大きく変えていくことが語られています。

ビルゲイツについては、古川さんのマイクロソフト時代の辛辣なエピソードが聞かれました。とにかく細かいことにこだわりを持つ人で、予算に厳しかったそう。部下を人前で罵倒したりちゃぶ台返しもするけれど、自分が間違った時はちゃんと謝る人だとのこと。ちなみにビルゲイツは英語ができる帰国子女が嫌いで、英語が苦手でも本質を言ってくれる人の方が好きとのことです。古川さんは英語はできないけれども、とにかく大きい声で英語を話すことだけは意識したそうで。ビルゲイツはキーボードは人差し指しか使えず、人差し指でタイプを打っているという意外なエピソードも。キーボードも英語もできなくても、本質が重要なのです。

総評

普段の黒川塾はゲームコンテンツの勉強会というイメージですが、今回はIT業界とこれからのテクノロジーについて考えさせられた刺激的な回でした。懇親会で古川さんはどこからここまでの豊富な先端知識を集めているのかについて聞かれ、記者時代の取材経験や、最近歳をとったことで早起きであることが役に立っているとのことです。知的好奇心がある人はいつまでも若々しいですね。

ブルーレイやHD DVDの覇権争いに関する裏話や、ゲーム業界の大物たちについてのとんでもないエピソードも聞けましたが、流石に個人ブログといえどもオフレコ話だったので書けないのが残念!時代の波に乗った大物たちは破天荒で常識破りでダイナミックな人が多いんだなぁ、と思いました。

デジタル社会のもたらすものは、共生と共働。未来は予測すると必ず外れる。未来は自らの手で創るものだ(The best way to predict the future
 is to invent it. by Alan Kay)の言葉で最後を締めくくりました。

引き続き黒川塾についてはまとめていこうと思います。コンテンツ産業やクリエイティブなアイデアを考える上でこれ以上ない刺激的なイベントです。

参考

黒川塾65概要ページ(Peatix)

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