【書評・考察】「MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実」お金の扱いをわきまえる為の一冊。


【書評・考察】「MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実」お金の扱いをわきまえる為に。

お金と人の心理についての良質な心理学研究をまとめたクラウディア・ハモンドさんの「MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実」を読了しました。お金が人の心理にどう影響するのかについての豊富な知見から、お金に操られるのでは無く、お金を自分の意志で操ることの知識が学べます。本書を読んで学んだ点や実生活にどうやって本書の知識を応用できるのかを考察してみました。

要点

・私たちはお金と可能性を結び付けて考える。
・算数や数学が得意な人ほどお金に関しての不安が無くなる。男性の数学的能力の高さと収入の高さには相関関係がある。
お金があればある程私たちは安心できる。札束を数えると死の恐怖が消える。お金を持っているという安心感が人を落ち着かせる。
人は物質としてのお金それ自体に愛着を持つ。例えば、新札よりも使い古したお札の方をすぐに使う。物としてのお金という存在が消費活動に影響を与える。
・私たちは常に心の会計理論に従って損得勘定をしている。心の会計は、食事で言う別腹と同じように、人それぞれが持つ、この分野にはこの金額使ってもいいだろうという心の仕切り(仕訳)。
・金銭感覚が近いカップルの方が長続きする。
自分が得をしていると感じているほど金遣いが荒くなる
・人間は損失回避の傾向が強く、自分が所有しているものの価値を高く見積もる傾向がある(授かり効果)。
・人は直前に見た数値に引っ張られるので、高い値段を見た後に買物をしない、高い買い物の後に買い物しない(普通の値段でも安いと感じてしまう)。
・物ではなく体験を買った方が思い出として残り、満足感が長く続く。ただ、物を買うことで新しい体験につなげる事も可能。
高すぎる報酬はプレッシャーとなり、そのプレッシャーがワーキングメモリーを占有してパフォーマンスを下げる
・報酬を与えると、内発的動機付けが下がる。これは、報酬が無い時にその行動のやる気が下がる現象(その行動自体を楽しめなくなる)。
・苦労して稼いだお金ほど大切に扱い、楽に稼いだお金ほど雑に扱う。
お金が絡むと利己的になりがち。善意や利他的といった徳もお金が入ると意識から押し出されてしまう。
・お金持ちになっても、無一文になっても人は次第に慣れていく。お金持ちになるほど、日常の些細な事に喜びを感じにくくなる。
・貧しい人達の風当たりは強く、自己責任論に結び付けたり、貧困嫌悪の傾向を持つ。貧困という状況が視野狭窄など思考に悪影響を及ぼす。
・貧しい時ほどお金に囚われてしまい、判断力が鈍る。更に脳のリソースの一部が常にお金の事で占められてしまい、パフォーマンスも下がる。貧すれば鈍する

考察1, 貯金をするために実践できること

・クレジットカードや電子マネーよりも、現金を使うようにすると無駄遣いを減らせる。
・電子マネーで買物をする時は現金で買うときの状況をイメージしてみる。現金で買うとしたら本当に買うものだろうか?

考察2, 無駄遣いを減らすためにできること

・セールス情報に触れたり、自分がお得だと感じる時ほど無駄金を使いやすい。高い買い物をした後ほど気が大きくなって、普段はしない買物もしてしまう(ついで買い)。
・自分が得していると感じた時ほど浪費してしまうのが人間。人の脳はお得な情報に弱いので、本当に得なのか数字で冷静に考えてみる。
・今自分が使おうとしているお金で、他に何ができるのか?このお金を使って新しい経験や体験、サービスを買うことが出来ないのか考えてみる。

まとめ・感想 お金と正しく付き合うための心理学

本書を読んで、「人間は損をしたくないし、後悔もしたくない。それでいて、自分だけは得をしたい、特別だと思いたい。」という感情が強く働いていることを実感しました。

お金が絡むと利己的に傾きがちで、高級レストランやブランド品に価値を感じるのも、高い金額を払うことによる価値を自分で見いだしている所がありますし、後悔したくないから安心という名目で保険を買ったりします。

個人的に本書の中では序盤のお金と不安についての知見と、物質としてのお金と電子マネーなど見えない形のお金では同じお金だけど浪費傾向がまるで違う研究が印象に残りました。ただ、本書後半のお金持ちの研究や寄付をテーマとしたトピックはそれほど興味をそそられませんでしたね。

貧すれば鈍する話も印象深いです。お金持ちや権力を持つ人ほど自分がそれに値する人間であると思い込むのは公正世界仮説が働いているのではないかと思います。

人付き合いでもなるべく金銭感覚が近い人の方が長く付き合えるのも、離婚の先駆けとなる出来事に金銭感覚の違いが最も多く挙げられていることを鑑みれば納得ですね。

考えてみれば当たり前だろう、それはそうだろうなという内容が多いですが、お金が人の心理にどう影響を与えているのか包括的にまとめた、よく構成されている一冊です。本書をざっと確認する事で無駄遣いや正しくお金と付き合うための知識が得られるでしょう。

■日本語版「MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実」 クラウディア・ハモンド (著), 木尾糸己 (翻訳) あさ出版 (2017/6/22)

■原著「Mind over Money: The Psychology of Money and How to Use It Better (English Edition)」Claudia Hammond

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