【書評と考察】「アイデアのつくり方」まとめとレビュー アイデアを作る力は関係性を見いだす力

アイデアのつくり方 ジェームズヤング まとめ

アメリカの広告業界の会長職などを務めたジェームズ・W・ヤングさんの「アイデアのつくり方」のまとめです。原著の初版は1975年。アイデア出しの古典ということもあって、文章に時代を感じ読みづらい箇所が見られましたが内容はとてもシンプルでした。

新しいアイデアは既存のアイデアを新しく組み合わせたもの

本書のエッセンスは「アイデアは既存のアイデアの組み合わせである」というアイデア出しに関してのシンプルな考察でしょう。先入観や思い込みにとらわれず、結びつかないような個別のアイデア同士を新しいやり方で結び付けること。アイデアとは既存のアイデアの新しい組み合わせなのです。

これは言い換えればアイデア出しをすることは個別に独立した物事の関連性を探る試みとも言えます。一見何の繋がりもなさそうな要素の共通点、繋ぎ合わさる接点を見つける洞察力といいましょうか。

このアイデア出しの力を磨くためには何が重要になるのでしょうか?本書では事前に資料をしっかりと集めることに重きを置いています。この資料収集は軽んじられる事が多いそうですが、アイデアを作るにはとても重要な段階だとのこと。そして広く物事に関心を持ち、興味のアンテナを広げておくこと。一見関係性が無さそうに見える物事の中に関係性を見出す力がユニークで新しいアイデアを作る土台となります。無駄だと思う事が閃きの種になるからです。

■その他アイデア出しに関してのMemo
・資料と対峙した時に、心に思うどんなことでも紙に書き留めてみる。
・考え込んだら、一旦離れる。アイデアを孵化させ、ひらめきが起こる時間(ユリイカ現象)を持つ。
・言葉はアイデアの基礎体力となる。語彙力を増やし、表現力を高める。

感想とレビュー

薄い本だが文章が硬く読みづらい本
とても薄い本ですが、古い本ということもあり非常に読みにくく、婉曲的にわざとわかりにくい言い回しの翻訳が目につきました。ヤングが説くアイデア出しの大切な部分は非常にコンパクトにまとまっており、なぜこの本を書くのか、本書の意義についての解説が半分ぐらいの分量を占めています。当時の時代の空気を感じたいのであれば買って読んでも良いのかもしれませんね。

本書のエッセンス自体はとてもシンプルで、アイデアだしの力は既存のアイデアを新しい方法で結びつける関係性を見いだす力という点に絞られます。無理に頭をひねってこれまでにないアイデアを絞り出そうとするのではなく、既存のアイデアを新しい方法で結び付けられないのか?を考えてみること、そして一見すると何の繋がりもないもの同士の関連性を見いだしていく洞察力が重要だと言うことです。

本書を読んでゲームボーイの生みの親である横井軍平さんが説いた「枯れた技術の水平思考」と似ているなと感じました。枯れた技術の水平思考とは、使い古され安くなった技術を組み合わせて独創的な商品を作り出すことで、任天堂の光線銃シリーズなどが例に挙げられます。発想力を活かしてこれまで使われていなかった分野に、容易に入手でき安定する馴染みの技術を適用してみようとする試みは、まさに新たな関係性を見いだし新たな商品を作り出す過程です。

現代はピンタレストやインスタグラム、グーグル検索の発達で良質なアイデアにいとも簡単に触れられるようになりました。そうした既存のアイデアをどう自分のフィルターで咀嚼し、解釈して組み合わせるのかについて個人の技量が問われる時代になりそうです。

■「アイデアのつくり方」 ジェームス W.ヤング (著), 竹内 均 (解説), 今井 茂雄 (翻訳) CCCメディアハウス (1988/4/8)

■原著「A Technique for Producing Ideas」 James Young (著)

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