【書評と要約】「ザ・コピーライティング」 ジョン・ケープルズ(著) 「言葉が富を生む」広告業界のバイブルとして語り継がれる名著

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【書評と要約】「ザ・コピーライティング」 ジョン・ケープルズ(著) 「言葉が富を生む」広告業界のバイブルとして語り継がれる名著
人の心に響く広告とは何か?この漠然としたテーマを理論だって検証、テストし効果的な広告について探求した広告業界のバイブル的存在「ザコピーライティング」ジョンケープルズ(著)を読了しました。良質なコピーには、人の心を動かす力がある。言葉の力は富を作り出す。広告業界で働いている人にとってはもちろんのこと、自分を売り込みたい人、人の心を動かす言葉とは何かを知りたい人の参考になることは間違いありません。

ジョンケープルズ(John Caples) 1900~1990とは

ジョン・ケープルズ(John Caples) はアメリカの広告業界にて通販広告のコピーライターとして58年間活躍した伝説的コピーライターです。アメリカの大学の広告学専攻では彼の著作が教科書として読まれていると言います。

レスポンス広告とは

本書で扱うのはレスポンス広告です。レスポンス広告とは、企業が顧客からの問い合わせ、資料請求などの具体的な数値で広告の売上げに対する効果を見る事を言います。本書ではこのレスポンス広告に対して効果がある方法を具体的に述べています。

ケープルズの3ステップ検証法

ケープルズが探求した効果のある広告と効果の無い広告の違いについて、以下の3段階のステップで検証されています。

■広告作り
1.見込み客の注意を引く:注目されなければ始まらない。
2.見込み客の関心を保つ:ぶれない内容で客の関心を保ち続けること。
3.見込み客に行動を起こして貰う:惹き付けた客にちゃんと購買行動を起こせられるか。

■広告テスト
1.広告は「科学的」にテストをして効果を測定する。広告の効果を数値化出来る手段を持つ。
2.テストして分かった事をベースに新たな仕組みや企画を立ち上げる。ただ広告を入れるのでは無く、広告の結果から学ぶ。
3.全ての広告は、以前行った広告から得られた気づきをテストする場。上手くいったと思ったのに上手くいかなかった場合は自分が間違っている事を素直に認め、反省して次に活かす。

7つのエッセンス

広告における人を動かす7つのエッセンスは以下の通りです。

1.広告から最大限の費用対効果を得るには、広告を絶えずテストする必要がある。
2.どう言うかより、何を言うかの方が重要。
3.殆どの広告で見出しが一番重要。
4.一番効果的な見出しは「相手の得」になることか、「新情報」を伝えるもの。
5.中身のない短い見出しより、何かをキチンと伝えている長い見出しの方が効果的。
6.一般的な内容より、具体的な内容の方が信用される。
7.短いコピーより長いコピーの方が説得力がある。

人間心理として、「人は人気者になりたくて仕方が無い。しかも手っ取り早く簡単にそうなれる方法をいつも求めている。」という事実があります。

広告を作る上での事実確認

・どのような見出しがたくさんの人を惹き付けるか?
・どんなビジュアルが一番注目を集めるか?
・どんな訴求ポイントで商品が一番良く売れるか。
・どんなコピーが自社製品&サービスを売り込むのに1番効果的か。

これらの事実を確認するために、本書では広告をテストして検証する事の重要性を説いています。あまりにも多くの広告が思い込みで作られているものが多く、どの要素に効果があったのか、一体何が効果をもたらしたのか、どの媒体や地域で使えば効果的なのかに対する科学的検証が出来ていないと述べています。識別番号を広告に付け、どの種類の広告をどこで使ったかをしっかりと把握する事が重要です。そして、少しでも広告を変えたのなら、「123A→123B」といったように識別番号を変えていきましょう。思い込みでは無く事実でどの広告が成果を上げているのか検証する事が重要です。

広告の3W

広告を出す側は、最低限以下の3つのWを意識する必要があります。
1.Where どこに広告するか
2.When いつ広告するか
3.What 何を広告で言うか。

個人的意見や思い込みで判断せず、結果や事実を冷静に意識して向き合う必要があります。

広告賞を取る広告と効果を上げる広告は別

広告業界では様々な広告賞などがありますが、密室で行われる広告審査では効果のある、売上げを伸ばせる広告は審査できません。こうした審査ではちょっとビジュアルが良いとか、しゃれたコピーが賞を取りやすいといいます。でも、それらの賞を取る広告が売上げをもたらすのかは話が別です。最も的確な批評家は身近な消費者で、店舗に行って「あの新聞に載っていた商品が欲しい」という人です。広告の専門家では無く、一般消費者が欲しい、買いたくなる広告こそが最も優れた広告です。評価の高い広告が売れる広告と同一である訳ではないのです。

効果的な見出しの3つの要素。広告は見出しが命。コピーと見出しは違う。

広告は見出しが命です。コピーと見出しは別です。見出しが良くなければコピーは読まれません。見出しがあってこそ人々に読まれるのが広告です。いかに見出しを人々の心に響くものとするか。それには以下の原則を見出しに含ませます。


1.「得になる事」:消費者の得になる情報です。一体この商品を使う事でどんな利益があるのか。もしくは他と比べて安くてお得なのかを示します。
2.「新情報」:新機能や新発表の製品紹介など、これまでに無かった新たな情報を提供することです。
3.「好奇心」:ちょっと謎を残すような感じで直接言わず、一体何が描かれているのか期待させることです。

この中で最も重要なのが「得になる」情報です。消費者が求めるものを提供できると言う見出しがあれば、どんなコピーや広告でも読んで貰えます。何を買うのか決めるのは消費者で、その消費者は何かが足りないと思うから商品を買います。分かりやすく単刀直入に相手のハートにドンピシャで刺さる表現で相手の欲しいと思うものを伝えることが重要です。

これに加えて、「手っ取り早く簡単な方法」を提供すると消費者の心に響きます。ただ、あまりにも上手い話となると、「信頼性」が重要になります。消費者にこんなうまい話あるわけないだろう、と思わせてしまうと失敗です。信頼性を出すには具体的な数字を添えると良いといいます。

■その他見出しの抑えるべきポイント
・暗い面やマイナス面は見出しに書かず、明るい面、得になる面を見出しに書きます。
・お利口すぎる、頭が良さそうなしゃれた見出しは書かないこと。分かりやすく単刀直入にシンプルな見出しにします。
・重要な事をキチンと書くこと。短い見出しよりも、長文の必要な情報が織り込まれている見出しの方が効果があります。
・重要な言葉を強調すること。デザイナーに任せっきりにするのではなく、得となる重要な情報など強調したい箇所をあらかじめ指定しておきましょう。

新情報見出し8つの型

ご紹介」:新型液晶テレビのご紹介です!
発表」:新型iPhone発表。
ついに〜など発表のニュアンスのある言葉」:ついに登場した新型オフィスチェア。座り心地は今以上。
新で始める」:新登場、カロリー50%オフ。
いま、さあ、ついに」:ついにブルーレイで登場!
とうとう、いよいよ」:いよいよ登場!自動運転車。
日付や年」:新元号、令和元年記念セール!
ニュース風」:半世紀眠っていた秘蔵のワイン。

価格に関する見出し5つの型

価格」:ワンコインで食べ放題!
割引価格」:在庫一掃セール、最高級ベッドが今だけ80%オフ。
特価品」:特売セール、この中から3つで買えば50%オフ。
支払いの簡単さ」:お支払いは一ヶ月後でOK。今すぐ注文!
無料提供」:無料相談受付中(○○法律事務所)

情報、エピソードを提供する見出し2つの型

役に立つ情報」:記憶力が上がる勉強法、お伝えします。
エピソード」:ある一人の孤独なサラリーマンがいかにして大企業の社長に上り詰めたか。

キーワードを使う見出し10の型

○○する方法」:もっと良い仕事に就く方法。
どうやって、このように、どうして」:どうやってTOEFLで満点を取ったか。
理由、なぜ」:なぜ野菜ジュースは効果が無いのか。
どれ、どの」:どのパソコンがあなたに合っているか
他に(誰か)」:他に試したい方は?
求む」:求む!IT業界志望者!
これ、この」:この心を落ち着かせるアロマは就寝前にピッタリです!
~だから」:この枕を使いましょう、毎日の快適な目覚めはあなたにとって大切なことだからです。
もし〜なら、もし〜しても」:もし地震が来てもこれで安心です。
アドバイス」:これから独立したい人に向けての10のアドバイス。

その他の見出し10の型

証言」:どうやって私はブラック企業から未払い給料を受け取ったか。
読み手を試す」:あなたは30秒以内にこの絵の中からウォーリーを見つけられますか?
1ワード」:減量
2ワード」:快眠寝具
3ワード」:学生通話料無料
今はまだ買わないように」:まだ印刷しないでください。業界最高性能の当社のプリンターを使えば…。
直接語りかける」:確実に成功に導きます。当社が責任を持ちます。
特定の個人やグループに呼びかける」:花粉症がひどい方に。このアイマスクをお使いください。
質問形式」:なぜこの食品が食べても太らないか分かりますか?
ベネフィット(得、利益)を事実と数字で伝える」:当社の売上げの5%は世界45の貧困地域に寄付しております。

訴求ポイントを見つけるには?

上手くいく広告は、人が持つ3大欲求を知る事が重要です。それは、「セックス、物欲、不安」です。さらに病気やプロの仕事道具などで必要に迫られて買う「義務感、自尊心、プロ意識」が加わります。訴求ポイントとは、買い手にとって1番いいことに焦点を当てることです。

■訴求ポイント一覧
・収入を増やす。
・節約になる。
・退職後の生活の安心。
・より健康に。
・医療や病気についての知識。
・老後の安心。
・仕事やビジネスでの成功、名声。
・単純に喜びある快活な人生。
・家事や雑務をもっと楽に。
・もっと余暇を活かす方法。
・より快適に。
・脂肪を減らす、減量する、見た目を良くする。
・今よりもずっとモテる。
・心配からの解放。
・みんなと同じでいたい欲求。
・人気者になりたい、注目されたい。

商品とターゲットに合う訴求ポイントをテストしていくことが肝要です。テストして検証する事で、どのターゲットにどの訴求ポイントが効くのか明らかになります。

まとめ・書評

【書評と要約】「ザ・コピーライティング」 ジョン・ケープルズ(著) 「言葉が富を生む」広告業界のバイブルとして語り継がれる名著

大ボリュームの名著。後半はより広告業界で働く人向けの実践的なコピーライティングと事例(目立たない商品をどう目立たせるかなど)が取り上げられています。広告主や事業主なら知っておきたい個別具体的な解決策がふんだんに載せられており、贅沢な一冊です。ブログなどで文章を書く人にも参考になるでしょう。

総じて言えることは、最も重要なのは「見出し」であり、見出しの原則さえ身につける事が出来れば他のコピーライティングにも応用が効くということ。最も失敗した広告は、気づいて貰えない事で、どの広告も反感はつきものですが、全く話題にも上がらず、気づいて貰えなければ広告の最低限の役割すら果たせていないということです。

監訳者の神田さんはネット時代の今だからこそ本書の内容をより活用できるといいます。広告を打つと言うことは数万、数十万の人に言葉を投げかけること。神田さんは「広告表現自体が敵を作ってしまったり、誰かを傷つけるような内容は長期的には上手くいかない。」とも指摘しています。本書から得られた知識を自分なりに創意工夫して実践していくことで多くの利益を本書から得られるはずです。

広告の世界で高い成果を上げるのは、決してしゃれた言葉や手の込んだデザインではなく、シンプルで単刀直入に見る人の訴求ポイントを打ち抜く言葉です。

本書に加えて、「シュガーマンのマーケティング30の法則」と合わせて読むとより人々の購買心理についての理解が深まるでしょう。

■日本語版

■原著「Tested Advertising Methods」by Caples, Hahn

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