書評「中学生でもわかるiOSアプリ開発講座」は、大人だけど分からない本でした。


今回ご紹介するのは、iOSアプリ開発について中学生でも分かる!と謳った「中学生でもわかる iOSアプリ開発講座」をレビューします。記事タイトルで分かる通り、実際にはとても高難易度な本でした・・・。
 

書誌情報

「中学生でもわかる iOSアプリ開発講座」林 晃
シーアンドアール研究所 (2014/1/24)

なぜこの本を手に入れたか?

最近、私は人生のふとした巡り合わせから、iOSアプリ開発について学習を進めています。自分一人で何かアイデアを形にする力を考えたとき、アプリが作れることは大きな力となるでしょう。私はこれまでプログラミング経験が一切無く、全くの初心者で未経験。大学も日本では文系として扱われる心理学科でした。そこで本当に初心者でも分かるような本を探してこの本と出会ったのでした。

iOS開発に使われるswiftは進歩が早く、2018年現在ではswift4まで発表されています。2014年に発売された本書籍、しかもswiftではなく、その前身のObjective-C言語の解説が載っている本を今更読む意味は無いかもしれませんが、プログラミングの根本的な考え方の理解ができるだろうとの思いで読んでみました。中学生など子供に対して向けられる本であるならば、根本的なプログラミングのルールへの解説に期待できるだろう、という考えもあります。

中学生でもわかる、とでかでかと書いてあるが……

ところが・・・、実際に読み進めていくとかなり問題点が見つかりました。

まずキャラクターはいいんです。文字フォントも丸っこくて大きめで柔らかい印象。


中学生と博士のかわいらしいイラストが懇切丁寧にプログラミングを教えてくれると思いきや…。

ただ、肝心の中身の説明が雑すぎました…。専門用語の解説を専門用語でたたみかけるようなイメージです。

「中学生:アクションって何ですか? 博士:ボタンがタップされたときに実行するメソッドのことだよ。今まではセグエを設定していたから、ボタンをタップしたときに自動的にプレイ画面が表示されたけど、セグエを使わない時はアクションと呼ばれるメソッドを設定して、そのメソッドの中で画面を表示する処理とかを実装するんだ。アクションは次のように[IBAction]という型を戻り値に設定したメソッドなんだ。」(本文217ページより引用)

そもそもセグエやアクション、メソッドに対しての解説が非常にあっさりしているため、それらの概念がしっかり把握できていなければならないのですが、この本だとその根本的な概念への解説が専門用語で行われ、非常にあっさりしています。博士に質問する役割の女子中学生の頭が良すぎるからか、解説への質問は全然してくれません。上記引用の場合だと、アクションへの説明に「型」と「戻り値」という更なる概念で説明しているため、「型」と「戻り値」についてもしっかりと理解しイメージできなければ、ちんぷんかんぷんになりかねません。会話体という構成であるものの、流れが非常に早く、専門用語への解説があっさりしすぎているために、混乱するばかりでした。読んでも頭に入ってこない!

総評

おすすめ度(10段階) ☆☆
看板に偽りあり。初学者には特にお勧めできない本。初心者ほど置いてけぼりになる可能性が高いです。逆にある程度プログラミングについて分かっている人が全体的な流れをつかむにはいいかもしれないですが。唯一、ゲームアプリ実装という比較的高難易度なサンプルアプリの設計例が見れるのは評価点。

補遺

・2018年3月、書店で新品が定価の2600円+税で普通に売られていました。私はAmazonで安く中古を買ったのでまだ助かったといえます・・・。新品で買っていたらダメージが大きいです。
・見た目にだまされてはいけません。子供向けに丁寧に書かれていると見せかけて、解説は雑というパターンもあるのだな、と痛感しました。