荘厳、精緻な美しき幻想世界 「征服 クリス・ククシ作品集」レビュー

25

今回は「征服 クリス・ククシ作品集」を紹介します。私は今年10月上旬に過去10年ほどのCGWorldという専門雑誌を読み込んで消化していたのですが、その中で玄光社からこの本の出版広告があり、それをきっかけにAmazonで購入しました。表紙のデザインにどことなく惹かれたんですよ。届いてページを開いて大正解。私の期待以上のボリューム感で美しく幻想的な世界を知ることが出来ました。

アーティスト:クリスククシ(Kris Kuksi)さんについて

著者のクリス・ククシ(またはクリス・カックシー)さんは1973年アメリカ生まれのアーティストです。非常に精緻な作品でアート雑誌に取り上げられる事も多く、たくさんのコレクターもいるようです。「complex artistic installations」、日本語に訳すと複雑で技巧的な装置の作品(立体作品)を数多く作っています。

参考→Google画像検索(Kris Kuksi)

作品の印象と本の内容


立体作品ですが、どれも細部まで精巧に作り込まれており、整然と綺麗に作品ごとに一つの世界が構築されているのが印象的です。

古代芸術作品や古典作品のキリッとした感じ、バロックやゴシック好きな人にはハマるでしょう。ゲームで言えば、機械や魔法と言った幻想世界が混在するファイナルファンタジーVI(FF6)の雰囲気やアートが好きな人もハマるかも知れないですね。

本の作りとしても作品の良さを際立たせるような構成となっています。印刷もすこぶる綺麗です。ただ、本という物理メディアの関係上、見開きページの本のノドの部分に作品の見せ場が埋まっている箇所があるのが少し残念。

実際に本を手にとって見ると作品の迫力が十分に伝わってきます。パラパラ見て創作のアイデアが閃きそうです。ゲーム業界でモンスターデザインする人なんかはかなり参考になるんじゃないかな。

調べて見たところ、作品を作るにあたってアッサンブラージュという技法を用いているのだとか。Photoshopなどで行われる2次元のコラージュの立体版(3次元)で、ミニチュア作品をさらに磨きをかけて芸術作品まで完成度を高めたものです。モチーフは西洋の天使や戦士、機械や時計といったシャープでエッジを感じさせるものが多いです。こうした世界観が好きな人にはたまらないでしょう。

総評

満足度 ★★★★★★★★★★

期待以上の作品群でした。パラパラ眺めるだけで新たな発見や着想のヒントがもらえます。バロック建築や宇宙、宗教の荘厳さを小さな空間に閉じ込めた作品群。新しいアイデアは多数のアイデアとの組み合わせから生まれるといいますが、まさにこの作品では古典や建築、宗教など様々な文化をミックスし芸術作品へと昇華しています。カオスであるけれど、どことなく秩序立っているというか。いろんなものが混ざっているけれど、世界観がしっかりしている感じです。表紙でビビッときた人は買ってみてください。幻想美術に興味がある人は後悔しないはず。

普段アート本でもスペースの関係で電子化してしまう私ですが、この本に限っては電子化する事無く末長く愛読書として残しておこうと思います。紙の本でこんなにインパクトがあるのなら、実物の立体作品も見てみたくなりました。

関連記事

美術「ベルニーニ「プロセルピナの略奪」(1622)」

参考・出典

Kris Kuksi(Wikipedia)
http://darkart-world.com/page/kris.php
アッサンブラージュ Wikipedia

 
  • follow us in feedly