ジャンプ流 vol.19 大場つぐみ, 小畑健「DEATH NOTE」「 バクマン。」「プラチナエンド」要約&まとめ

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ジャンプ漫画家の創作の秘訣を探るジャンプ流。今回は「DEATH NOTE(デスノート)」などの作品で原作を担当した大場つぐみさんと作画を担当した小畑健(おばたたけし)さんについて、彼らの創作の秘訣を探ります。彼らの創作活動・クリエイティブ活動のヒントとなる知識をまとめました。

書誌情報 
「ジャンプ流 vol.19 まるごと 大場つぐみ, 小畑健「DEATH NOTE」「 バクマン。」「プラチナエンド」」 集英社 2016/10/06

デビュー秘話

大場つぐみ 原作担当

・子供の頃からマンガが好きだったが、自分でマンガ家や原作者になろうとは思っていなかった。
・大学時代に大きな転機が。就職を意識し始めた時期に、このままじゃやばいと思いつつ、映画監督などの夢みたいな話をして、その流れで2人でマンガを描いてみることにした。
・学生で時間はあったから、1本描いてある賞に投稿したら、運良く最終候補に入った。マンガの道を本気で志すことにしたのはそこからだった。最終的に友人はマンガから離れることに。紆余曲折あり、原作者に転身した。
・「DEATH NOTE(デスノート)」で原作者としてデビュー。当時1年ぐらい暖めていた話で、もう一つの作品と一緒にネーム原作の形でジャンプ編集部に持ち込んだもの。担当は面白いけどジャンプ向きではないと判断したが、当時編集長だった茨木さんが気に入ってくれて「ヒカルの碁」の連載が終わったばかりの小畑先生に作画を担当して貰えることに。
・デスノートで原作をやること自体が初めてで、誰かの絵がついて読み切りが掲載されるだけでも最高だと思っていたのに、作画担当が小畑先生だったから本当にラッキーだと思った。
・「DEATH NOTE」は実は場当たり的に展開を考えていた部分も多く、毎回来週どうしようと思っていた。
・編集とのやりとりで最初から決まっていたのは最後に「月(ライト)」が勝ってはいけないという部分。個人的に「月」に勝たせたいという気持ちもあったものの、彼は間違いなく悪人で、少年ジャンプの作品としては勝たせる訳にはいかなかった。
・一番注意していたのがキャラクターの生死に関わる仕掛けの部分に矛盾が出ないこと。
・「バクマン。」ではジャンプという雑誌のシステムを描いた。マンガ業界についてのマンガというアイデアはデスノートの連載中から考えていた。
・マンガ家が主役の恋愛モノと考えていたが、結果的になんでも描いて良いことになって職業ものの側面が強くなった。
・「プラチナエンド」で小畑先生と3度目のタッグ。小畑先生に絵を描いて貰えるのは凄く幸運でありがたいが、そのぶんプレッシャーも大きい。小畑先生の絵で売れないと原作の責任を感じる。個人的に原作者という立場についてなんだか申し訳ないという気持ちがある。
・過去にマンガを描いた経験から絵を描く大変さは分かるし、それと比べて原作は楽をしている想いがある。だからこそ面白い話を考えないといけない。
・原作者を目指す人には、ダメ元でやってみることが大事。
・マンガ業界は厳しい世界だし、宝くじを買うのと同じ感覚で続ける意思が必要。継続したからこそつかめるチャンスがある
・自分自身はとても運が良いと思っており、自分でもマンガを書く経験は必要。マンガの描き方がわかったうえで原作をやるのと、そうでないのとではやっぱり違う。言い方は悪いが、マンガ家崩れが原作には一番向いているのでは?と考えている。

小畑健(おばたたけし)作画担当

小さい頃、みんなができることが自分だけなかなか出来なかったりしたので、自分は普通のサラリーマンには絶対なれないと思っていた。学校も人がたくさんいる怖い場所という印象だった。
・在るときクラスの学級新聞に自分のおじいちゃんを主人公にした4コママンガを描いたらそれがウケた。みんなに認められた気がして絵を描くのって楽しいなと思うようになった
・マンガで好きだったのは「サイボーグ009」。すごい力を持っているのに常に何かに悩んでいる主人公と、凄く繊細でいつもくよくよしている子だった自分自身とを重ね合わせて共感できた。
中学2年生の頃にはマンガ家になることを意識していた
自分は絵の仕事以外は出来ない!と思っていたので、ペンを買って本屋で絵の描き方を立ち読みして練習して必死だった
学校でも友達のリクエストを受けて、1枚500円でいろいろなものをいろんな画風で描いたりしていた
・高校時代にホップ☆ステップ賞に応募した作品が佳作を受賞。初代担当の茨木さんから連絡を受けた。
・担当としては次はネームを、と思っていたがいきなり「500光年の神話」を描き上げて手塚賞に応募してしまった。それが準入選を貰ってデビュー作になった。
・茨木さんいわく、もう賞はいらないのに、とのことだったが、最高峰の手塚賞にひっかからなければ別の進路を考えようかと思っていた
・受賞後は東京へ上京。次原隆二先生、にわのまこと先生のもとでアシスタントを経験。生で見るプロの仕事は原稿が光っている!という感じで、特ににわ先生の作品はキャラクターも生き生きして自分もこういう風に描きたい!と思った。
・「CYBORGじいちゃんG」で連載デビュー。しかし同時に苦悩の時期に。
・自分のネームにあった絵を描こうとすると、自分の描きたかったカッコイイ絵から外れていく感覚があって、それにストレスを感じていた。
・次の「魔神冒険譚ランプ・ランプ」は原作付きだったけれど、文章で貰った原作を面白くマンガにできなくて、自分のマンガ力のなさに気づいてしまった。
・それからしばらくは何を描いていいのか分からない状態になってしまった。
・「人形草子あやつり左近」は好きな題材だったけれど、力が入りすぎて絵のコントロールが出来なくなってしまった。自分の中ではマンガを描くことに対する不安感が一番出ていた作品。
マンガ家はストーリーも絵も全部自分一人でやらなくてはならないという思い込みがあり、デビュー以来自分の力不足をずっと感じていた
・「あやつり左近」で自分好みの原作と出会えたこともあり、編集、原作、作画の3人のチームで面白いものができればいいんじゃないか?その中で自分は絵を誠実に描けばいいと思えるようになった
・ほったゆみ先生の「ヒカルの碁」はネームだけでも面白いと感じ、これは凄いと思った。自分がマンガ家としてなんとなく崖っぷちにいる意識もあってこの作品なら自分の描きたい絵が描けそうだし、存分に描こうと腹をくくった。最初に描こうと思ったのが「佐為」。碁石の白黒のコントラストに平安調のカラフルなイメージが重なった。実際に描き始めるとなかなかイメージ通りの線が引けずに焦ったが、続けるうちに描きたい絵に近づいていった。このときに自分の中でいろんなことがカチッと決まって今に至るまで続いている感じ
・「デスノート」は「ヒカルの碁」が終わった後に茨木さんが話を持ってきてくれた。邪道とも言える「月」の立ち位置、死神などのダークファンタジーといった自分の描きたいと思える要素が揃っていて、これに自分の絵を組み合わせたらすごく面白く描けそうだと思った。
・「月」のイメージもすぐに自分の中から出てきた。根っこは多分「サイボーグ009」にあって、ただ者ではないシュッとした透明感がある雰囲気がピタッとハマった感じだった。
・続く「バクマン。」でもヒットを飛ばした。大場先生とのやりとりは編集さん経由で直接会ってやりとりすることはほぼ無いが、まったく困ったことがない。以前お会いしたとき、自分が感じていた「サラリーマンになれない」とか「いつも崖っぷちに居る感覚」を大場先生も持っているとおっしゃり、人間的にもかなり似た部分がある人だと思った。
・大場先生とはお互いの長所を活かしつつ、やりたいことをやれている関係だと思っている。自分の分身とまでは言わないが、マンガを作るパートナーとして2人で1人だと感じることは多々ある。チームを組むことで自分のやりたいことをやる方法もある

技術面

読者を常に驚かせることを念頭にドラマ展開をさせていく
物語の重要な役割を持つテーマを序盤にハッキリさせ、構図を示していく
・ルール作りの構築は、最初に大まかに大前提となるルールを作り、あとから細かなルールを追加していくやり方。主人公たちによる駆け引きにうまく幅を持たせるように。能力の制限などで頭脳戦を描く。
・ネーム原作方式。2人がネームを通してセリフや展開を調整して内容をブラッシュアップしていく。手間の分完成度も高まる。
・「デスノート」の「L」は一見かっこ悪いのになぜかカッコイイという見せ方が出来たのでお気に入り。
・大場先生いわく、あまり重要ではないキャラクターの設定が、小畑先生の手にかかって予想以上にカッコイイ外見に描かれていて驚く事もある。
・作品の雰囲気に合った画風を常に模索している。
・作画では第一に「多くの人が見ていて気持ちいい絵」を描くことを意識している。
原作付きの作品では、それぞれの作品のストーリーが持つ雰囲気に合わせてペンタッチや画風を変化させている
・書き込みによってディテールのバランスをとっている。最初に原作のネームをみた時に自分が感じたイメージを判断の基準としてかき込みすぎず、描き込まな過ぎないような、ちょうどいいバランスの絵柄を常に模索している
・会話シーンではキャラの表情などを小畑先生の判断で細かなニュアンスまで描き込んでいく。
・「驚き」の要素など、読者を飽きさせないための様々な工夫を意識している。
・キャラクターの手の形などは反転鏡でデッサンをチェックしている。写真を用いる手間がなくなり効率も上がる。
・アシスタントは10年来の古株が多い。

DVDより

・カラー原稿の下絵はあまり線を入れずに進めていく。細かいところは色塗りの過程で決めていくので、下絵段階ではそんなに描き込まない。
・全体のバランスをどうしようか、と考えながら描いている。
・下絵を描いていく内にポーズや要素が変わることも。
・カラーでは、はっきりと決めていない細かいところ描いてしまうと、色をぬったときにつじつまが合わない所が出てくる。
・彩色はコピック。顔を先に仕上げていく。顔の立体感を出すところにポイントを置いている。鼻の立体感と口元の曲線、口の端から目尻に描けて強調しながら、顎のラインの肉の膨らみを光の反射を残しながら表現していく
・いきなり塗り込むのはできないので、全体や色んな所の様子をみながら、シワや容姿などをまんべんなく確認しながら調整しつつ塗りこんでいく。
・モノトーンはさみしいので、赤みや紫を差し込んだり。
・薄い色合いの箇所で、強い色がない時は小物や洋服などのどこかにベタを強く入れる要素を持たせ、強い絵にしていく。
・色を塗ると言うよりは描く、這わせるという印象。塗りは勢いとかノリで対処していく。瞬間瞬間に対処して決めていく。

・今まで描いた作品のグッズとか単行本とかリミックスの本とかフィギュアとかが届くが、開けた形跡がない。あまり開けないですね。開けている時間が無い。
・スタッフ全員はシフト制。週4,5日入って、3週ぐらいで1話を描いている。月刊は60,70ページ近い。
・キャラクター処理の決まりごとなど、自分が指示を書いた紙を配って、その部分を意識しながらアシスタントさんにやって貰う。
・「プラチナエンド」の「メトロポリマン」の書き込みも相当なもの。
・作品によって画風を変えているので、そこがまたアシスタントのみんなも合わせるのに苦労するところ。毎回ちょっと変えるところの意思の疎通がなかなか難しい。
・連載前に「今回はこんな画風で行くぞ」と決めている。
・連載して描いているうちに絵柄はまた変わってくる。自分でも描いてみないと分からない。

・資料棚はよく使うものを。「背景カタログ」は基本。「バクマン。」でもだいぶお世話になった。
・意外と助かる資料は身体の筋肉がよく分かる筋トレ&ボディビルダー系の雑誌。
・保管管理や整理整頓がすごく苦手。そのへんに置いたままにして何年もそのままにしておくことも。
背景がすごいマンガを参考資料にしている。「モンスター」「ベルセルク」など。絵が上手いマンガはアシスタントに読んでもらってモチベーション高める意味合いもある。凄い絵を読んでいると描きたくなる気持ちもでてくる

・藤子不二雄A先生からいただいたサイン色紙がお宝。マンガ道の愛蔵版がでるときに解説をかかせてもらったそのお礼。藤子不二雄A先生の「マンガ道」がなければマンガをやっていなかった。家宝。
・「ヒカルの碁」が終わった後にイタリアに行ったときに十字架のキリストを買ったが、そのおかげでデスノートの世界観のイメージが出来た。
・スターウォーズは小学生の頃からのファン。C3POはスーツの中に入りたいぐらい好き。
・リュークをうまく描けなくて、自分で粘土で作って最初はこれを眺めながら描いていた。
・道具は普通にGペン筆ペンを使っている。下絵は鉛筆で。あとは指示用の青鉛筆。
・ネームは一度自分のリズムでネームにし直してから作画をしていく。
・自分のほうでも膨らませてお話を膨らませたりしている。
・ネームの段階では好き勝手に。ダメなときは原作者からダメって言ってもらえる。
・新キャラは思いついたら書き留めている。ビジュアルを先にかいて大場先生にみせ、大場先生にそのキャラの性格を作って貰うことも。
・ジャンプでやっていく週間のペースは、本当に勢いでどんどん描いていく感じ。その週の読者の反応を見ながら話が決まっていく。読者の見たい、読みたいと思えるものを作りたい、作り手の方が感じ取りながらつくっていくのがジャンプ 読者→編集→作家さんでつくっていくざっし

マンガ家を目指す人たちへ 小畑健

・マンガを描くのは凄く大変なことで、自分でも未だによく分からない所がある。
・続けることが大事だと思う。作画と物語といろんなことを全部1人でやらなくてはいけないという感じだけれど、必ずしもそうではなく、なにか足りなくても、続けて行ければチャンスはあったりすると思う。自分のマンガ力的なことがほかの作家さんと比べて強くないと思っている。大場先生みたいなストーリーを作る才能と出会い、自分がやってこれたというのがある。とにかく自分が得意なものを自分で意識して、それを武器にして続けていけば、何か形になるんじゃないかと思う。それには編集さんの力も凄く大事で、マンガは1人で作っているものではないので、編集さんを信頼して続けていけば必ず何か形になるのではないかと思う。

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